智頭行きの快速列車に乗車します[①]。因美線東津山〜智頭間は本数が少ないので、少ない本数の中でも利便性を確保するべく、全ての列車を普通列車としているのかと思えば、このような快速列車の設定があるあたり、そのようなつもりは別にないようですね。まあ、私のような「部外者」にとっては、通過駅のある快速列車は乗っていて面白いので好きなんですが。
それにしても、今日は良い天気ですね[②]。実りつつある稲穂の萌黄色、茂る林の濃緑、薄く張った雲の白色、鮮やかで清々しい青色の空。そして山の端が空のそばに描き出す鮮明な輪郭。理屈ではありません。心の深層にある感覚が、これは素晴らしい景色であると叫んでいます。しかし、岡山県北部地域は、冬にはよく雪が降る場所でもあります。冬になれば、きっと限りなくモノトーンな景色も展開されるのでしょう。
この快速列車では、美作滝尾駅は通過駅に設定されています。風情ある木造駅舎も、一瞬のうちに置き去りにしてしまいました[③]。これが観光列車であれば、観光停車として長めの停車時間を設けたり、あるいはゆっくりと通過したりするかもしれませんが、ごくごく普通の快速列車なので、登録有形文化財の価値に見向きもしないかのように、あっさりと通過してしまいました。
美作滝尾、三浦を通過して、7:04に美作加茂に到着しました[⑤]。ここでは列車交換のために10分の停車時間が設けられています。しかし・・・、これは速達輸送を目的としている(はずの)快速列車なのですから、こういった長い停車時間によって、駅を通過して稼いだ時間を吐き出すのはどうかと思うんですが・・・。対向列車の時刻を調整するなどして、1、2分程度の停車時間にすることはできないものでしょうか。何のための快速列車だか。
津山行きの普通列車がやってきました[⑥]。これで相手が快速列車なら、まだ許しようもありますが、相手は普通列車です。特別料金不要という点では対等といえども、ここはひとつ、快速列車の速達性を最大限に発揮させるためにも、向こうの方が10分停車するくらいのダイヤにしてほしいものです。駅を通過するだけ通過して速くないなら、普通列車にしてしまった方が、旅客の側としては便利なものでしょう。
ふとキハ120形の車体を見てみると、「禁煙車」と書かれたシールが貼られていました[⑦]。JRの普通列車が全面禁煙というのは、今では当たり前のことで、わざわざ駅の放送で全車禁煙ですと案内したり、車体に禁煙のピクトグラムが貼り付けられていたりすることはほとんどありませんが、キハ120形が普通列車の全面禁煙化前と後の両方を知る車両で、「禁煙車」と表示して禁煙を周知する必要性があった時代を思わせます。
途中、不自然にえぐれた山肌が見えました[⑨]。瑞々しい緑を湛えた森の中に現れた謎の空間。山火事の所為か、と考えましたが、その焼け跡であるとしたら、あまりにも整っていて綺麗すぎるでしょうか。しかし、材木が欲しくて森林伐採をしたならば、わざわざこんな山の上の方(下の方は切っていないのに)に穴を開けるようにやるものでしょうか?
列車は知和を通過します[⑩]。美作滝尾、三浦、知和の3駅が、この快速列車の停車駅です。各停車駅での乗り降りは、那岐での1人の乗車を除いて見られず、私を含め計4人(うち1人が那岐から)という乗客数で終点の智頭に到着しました[⑪]。
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