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 本来なら、新鳥栖駅にいる時間は僅か4分であったはずなんですが・・・。13:50発のさくら553号に乗り遅れてしまったがために、14:31発のさくら411号を待つための待ち時間ができてしまいました。

 新鳥栖駅にやってきてまず最初に行ったことは、次のさくら411号の「指定料金券」の購入でした。アラウンド九州きっぷでは、6回まで指定席券を無料で発券できる規則になっており、6回を超える分については、指定席料金の値段で販売される「指定料金券」を購入することにより、指定席が利用できます。別に自由席でも座れると思いますが、N700系S・R編成の指定席は2+2配列ですから、 余分に払ってでも指定席に乗りたいんです。

 「かもめ22号の遅延さえなければ、さくら553号に乗れていた」「この乗り遅れはJR九州の責任である」とするならば、もしかしたら、さくら411号の指定席券を無料で出してくれたかもしれませんが、時刻表によれば、新鳥栖駅での乗り換え標準時分は7分とされており、もとより「できない乗り換え」をしようとしていたので、これは当方の責任になるだろうと思い、最初から素直に指定料金券を買いました。

 2011年3月の九州新幹線博多開業時に開業した駅ということで、さすがに「新しい駅だな」という印象を受けます[②]。「←九州新幹線のりば」という案内板が写っていますが、ここは、改札内ではありません。実は改札外です。つまり、新幹線の駅において標準的な「在来線の改札内に新幹線乗り換え口がある」という構造ではなく、両線を相互に乗り換える場合は、いったん必ず改札外に出るという構造になっています。

 駅舎は、「鳥の翼を連想させる曲線のフォルムとし、躍動感とスピード感を表した」とのこと[③] [⑤]。まあ、分かるような気もしますし、分からないような気もします。そのデザインをもって何を表現したのかという話は、往々にして抽象的になりがちなので、仕方がないことではありますが。

 新鳥栖駅は、新幹線の単独駅ではなく、長崎本線と交差する地点に設けた在来線接続駅です。駅周辺には、ある程度の住宅街や[④] [⑥]ゴルフ場などがあるようです。もちろん、在来の鳥栖駅と比較すれば、駅周辺の発展度合いの差は歴然としていますが、何もないというほどではありませんし、また、旧来からの中心駅がひとつ隣であるなど、「新●●駅」としては、そこまで不便でもないように思われます。

 それにしても、新幹線が乗り入れている駅に自転車で行けるようなところに住んでいて、しかも無料で駐輪しておけるというのは、とてもうらやましい話ですね[⑦]。しかも、新鳥栖駅の場合は、在来線の特急列車が全て停車します[⑧]。チャリンコで駅へ行って、タダで駐輪して、新幹線や特急が停まる駅まで移動することなく、新鳥栖から長崎や佐世保、博多、何なら広島・大阪・名古屋・東京まで行けるというのは・・・、凄い。

 「九州新幹線のりば」と書かれた案内板のピクトグラムには、N700系ではなく、800系が使われていました[⑨]。800系は九州新幹線内しか走らず、山陽区間へ乗り入れるN700系の方が、より九州新幹線を象徴できる車両であると思いますが、800系は、JR九州だけが保有している車両であり、2004年の暫定開業時から走り続けている車両です。JR九州としては、やはりこちらの方が思い入れがあり、案内表示などに使いたくなるのでしょうね。

 14:31発のさくら411号に乗車します[⑩]。定期列車においては、つばめ号が300番台、九州新幹線内のみのさくら号が400番台、山陽直通のさくら号が500番台、みずほ号が600番台の号数を使用しています。これを知っていれば、特にさくら号については、号数を見るだけで、山陽直通かそうでないかが分かります。ただし、臨時列車ではさくら号が300番台を使用することもあります。

 新幹線ホームは、本線・副本線ともにホーム柵があります[⑪]。屋根は無数に広がる鉄骨が支えており、鳥の巣をイメージしたとされています[⑫]























 さくら411号がやってきました[①]。九州新幹線内のみを運転する列車ですが、JR西日本のN700系S編成での運転でした。広く知られているように、N700系S・R編成の普通車指定席は2+2配列となっており[②]、新幹線の普通車としてはかなりゆったりとしています。アラウンド九州きっぷの指定席券無料発券の権利は使い尽くしていましたが、+710円(繁忙期のため)の指定料金券を買い足すだけで、この座席が手に入りました。

 遅延したかもめ22号から下車した後、在来線の改札口を出ると、新幹線車両独特の冷却音が聞こえているような気がしました。そこで私は、「実はさくら553号も遅れているのかも」と思い、すぐ新幹線のホームへ行きました。しかし、そこにさくら553号の姿はなく、いたのは、13:53発の新大阪行き・さくら556号でした。そして結局改札を出たため、結果として、新鳥栖に入場・即出場・また入場という、妙な記録が印字されることになりました[③]

 新鳥栖〜久留米間の駅間距離は僅か5.7km。碌に加速もできないままに、3分で到着してしまいます[④]。新鳥栖駅は佐賀県鳥栖市の駅ですが、久留米駅は福岡県久留米市の駅なので、一度福岡(博多)を出て佐賀に入ったものの、再度福岡に戻るということになります。JRの久留米駅は市街地の隅っこにありますが、久留米市自体は30万都市なので、なかなか立派な街並みをしています[⑤]

 筑後船小屋を通過[⑤]。ホームに接した線路を高速で通過するため、ホーム柵があります。東海道新幹線などと比べると本数が少ないからか、あるいは単純に建設費をケチっているからなのか、九州新幹線の駅には、通過線を持つ駅が存在しません。いや、もっと言えば、整備新幹線として開業した区間の駅で、通過専用の通過線を持っている駅は、1駅たりとも存在しません。

 延伸開業区間(博多〜新八代)は、比較的明かり区間が多いですが、防音壁が建てられている区間も結構多いので[⑥]、車窓は案外見られないものです。同じ「何も見えない」でも、暗くない、うるさくない、耳が痛くないという分、トンネルよりマシなのか?

 まもなく熊本に到着します[⑦]。政令指定都市にもなっている街ですから、市街地の街並みは、さすがに都会的ですね。しかし、JRの熊本駅は、先ほど話題に上げた久留米駅と同様に、市街地を外れた場所にあり、立地としては、かなり不便と言わざるをえません。もっとも、市街地を外れている=比較的土地に余裕がある=だからこそ既存の駅に新幹線の駅を併設できた、と考えれば、あながち悪いことでもないのかもしれません[⑧]

 熊本を発車してしばらくすると、新幹線の熊本総合車両所が見えてきます[⑨]。九州新幹線の博多開業に合わせて、川内新幹線車両センターに所属していた車両が全て移籍してきました。このため、川内に所属している車両はゼロとなり、JR九州の新幹線車両は、全て熊本所属となりました。

 15:28、出水に到着しました[⑩]。本来乗車するはずだったさくら553号は、新鳥栖を出ると、久留米・熊本・川内・鹿児島中央という停車駅設定ですが、このさくら411号は、久留米・熊本からの各駅という停車駅設定です。そのため、「停まるはずではなかった」出水などに停車してしまうと、心なしか、じれったさを感じないでもありません・・・。

 新八代〜鹿児島中央間の暫定開業区間は、総距離の69%をトンネルが占めています(博多〜新八代間は30%)。そのため、トンネル内を走行している時間の割合が相対的に高いです[⑪]。その分、直線区間を多く確保するとともに、できるだけ短い距離で鹿児島へ至るように線路が敷設されたため、海岸線をのらりくらりと走る在来線特急時代と比べると、かなりの所要時間の短縮ができたようです。

 15:52に終点の鹿児島中央に到着しました[⑫]。さて、次に乗る列車とは・・・?















 9分の待ち時間で、16:01発の指宿枕崎線・枕崎行きに乗車します[①]。さくら553号に乗れていれば、鹿児島中央でちょっとした時間がとれていましたが、後続のさくら411号に乗ったため、9分での乗り換えという、やや慌ただしい乗り継ぎとなりました。

 車両は2両編成のキハ47形[②]。長駆枕崎まで乗るというのにキハ40系か、と文句の1つも言いたくなってしまうところですが、キハ200系の運用区間は山川までとなっているため、山川から先へ行く場合は、強制的にキハ40系に乗らされます。学校帰りとみられる高校生をはじめとして、やや乗客の数が多く、進行方向向き・窓側のクロスシートを確保することはできませんでした。

 鹿児島中央を発車すると、ほどなくして、川内へ向かう鹿児島本線と分かれます[③]。指宿枕崎線は単線・非電化の路線ですが、鹿児島中央から11.3kmのところにある坂之上駅+1.5kmを過ぎるあたりまでは、ずっと住宅地の中を走ります。

 鹿児島中央から12.8km(11.3+1.5)の地点までで比較すると、複線電化の鹿児島本線が広木・上伊集院の2つの駅しかないのに対し、指宿枕崎線は、郡元・南鹿児島・宇宿・谷山・慈眼寺・坂之上の6駅があり、単線非電化の指宿枕崎線の方が、”需要のある幹線”の風格があります。列車の本数も、鹿児島中央発〜広木が42本であるのに対し、同〜坂之上は50本(平日・広木と坂之上を通過する特急含む)と、指宿枕崎線の方が多いです。

 16:14着の谷山でキハ200系の列車と列車交換を行います[④]。本数の多い喜入までの区間では、谷山・五位野・瀬々串の3駅で列車交換を行いました。正直、喜入までは複線でも別におかしくないと思うんですがね。まあ、今からわざわざ複線にすることはないでしょうが。なお、南鹿児島〜谷山駅手前で並走する鹿児島市交通局・谷山線(路面電車)は、複線電化となっています。

 指宿枕崎線は海が見られる路線ですが、残念ながら、海側の座席には座れませんでした。山側の座席といえども、緑豊かな水田地帯が広がる!などであれば、まだ悪い気はしませんが、こんな「眼前に迫る森の木々」なんて見たって・・・[⑤]。本数が多い喜入までの区間を抜けて最初の駅、前之浜には、16:49に到着します[⑥]。そしてまた列車交換。


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