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 境港行きの普通列車で境港に到着した段階で、1番線にキハ121形が停車していましたが、それが臨時快速みなとライナー号になりました[①]。先ほどの境港行きの普通列車が2両編成であったのに対し、こちらは1両編成であり、「増発列車として輸送力を増やしてくれるのはありがたいが、これでは混雑するのでは」と思いましたが、案の定、車内はよく混んでいました。

 利用者数の統計を取って今後の運転計画の参考にするためか、ホームでは、米子駅から派遣された社員がカチカチカウンターで乗客数を数えていました。その派遣された社員に見送られながら、列車は境港を発ちました[③]

 快速運転を行うみなとライナー号ですが、まずは隣の馬場崎町に停車[④]。境港〜馬場崎間は線路が一直線になっており、こちら側から境港駅のホームや駅舎、その向こうにあるみなとさかい交流館などが見えました。

 13:53、列車は中浜に到着しました[⑤]・・・が、境港駅を起点に伸び続けてきた直線区間は、境港駅から4.7km離れた中浜駅に至ってもまだなお続いていました[⑥]。さすがに境港駅の姿までは見えませんが、紛うことなき直線が伸び続けてきていることが分かります。列車はここで10分停車し、境港行きの普通列車と列車交換を行いますが[⑧]、駅を通過して稼いだ時間を列車交換で放出してしまうというのは、やはりもったいないことです。

 境港からの直線区間はなおも続き、境港を発車してから初めての曲線区間が現れたのは、結局、境港から約5100m離れた、米子空港駅が目前の地点でした[⑨]。これほどの長さに渡って直線区間が続いているというのは珍しいことです。なお、米子空港駅(元・大篠津駅)の移転・改称以前は、直線区間の長さは5880mほどであり、今よりも更に長いものになっていました。

 中浜駅で10分もの停車時間があるのは残念なことですが、このみなとライナー号は、駅間ではかなり飛ばして走ります。臨時列車にありがちなノロノロ運転ではなく、快速列車の使命たる速達輸送を果たそうとする走りを見せてくれます。途中の停車駅も馬場崎町・余子・中浜・米子空港・弓ヶ浜・後藤に絞られており、それ以外の駅は通過してしまいます[⑩]

 後藤駅付近で電化された線路が見えてきます[⑪]。そして更に検修庫や留置線が現れます[⑫]。この正体は、山陰地方を走る電車や気動車、客車などが所属する後藤総合車両所です。境線は、後藤総合車両所への回送線としての役割も担っており、米子〜後藤駅手前の区間は、電車の通行のために電化されています[⑬]。もっとも、これは「車両所へ出入りする電車の回送用」であるため、境線に電車の旅客列車は走りません。

 14:21、境港から35分で終点の米子に到着しました[⑭]。境線列車専用の0番線ではなく、山陰本線の列車が使用する4番線に到着しました。

 米子〜境港間の普通列車の所要時間は45分前後であるため、35分という所要時間は、臨時列車としては頑張ったと言えますが、それだけに、中浜駅での10分もの停車が惜しいです。一方、境港行きのみなとライナー号は、中浜駅での待ち時間が少ないこともあり、米子〜境港間27分という素晴らしい速達性を発揮しています。駅間での本気の走りがあるからこその所要時間です。
















 米子駅に戻ってきました。さて、今日の宿へ向かいましょうか。今日の宿は、駅前からその姿が見え、駅から徒歩1分という近さを誇る米子タウンホテルです[②]。チェックインは15時からとのことだったので、少し時間を潰してからホテルへ向かいました。部屋はいたって平凡なものですが、案外部屋に用意されていないことも多い消臭剤(今時それはどうかと思うが)がきちんとあったのは嬉しい点です[③]



 ・・・で、まさかこんな早いうちに1日が終わるはずはなくてですね・・・。倉敷〜伯耆大山間を結ぶ伯備線は、倉敷〜新見間は既に乗車が完了していますが、新見〜伯耆大山間については、まだその乗車を達成できていません。そこで、これから新見へ向かい、伯備線の残された未乗車区間を攻略してこようと思います。そんなわけで、ホテルで少し休憩して、再度米子駅へ戻ってきました[④]

 駅の売店に目をやると、「サンライズ出雲トラベルセット」が販売されていました[⑤]。この商品は、元々はサンライズ瀬戸・出雲号の車内で「タオルセット」として販売されていましたが、JR西日本の車掌の越境乗務が廃止された影響により、車内での販売が終了してしまいました。まさか米子駅の売店で見かけることになろうとは。なんだか無性に嬉しくなってしまい、2つ買ってしまいました。

 ところで、いったいどのようにして新見への往復を行うのか。誰もが思いつき、かつ私も真っ先に思い浮かべるのは、特急やくも号での往復でしょう(この男は普通列車など使うはずもない)。事実、私もやくも号で往復しようと思い、旅程にもそのように入力していました。

 しかし、「1か月前ちょうどに指定券をとらなかったけどまさか大丈夫だろうな」と思い、何気なくJRサイバーステーションを見てみると、ある気になる列車が表示されました。その名は、「サンライズ出雲92号」[⑥]。8月11日・15日のみに運転された、サンライズ出雲号の増発列車です。

 米子〜新見間でサンライズ出雲号に乗るという発想など全くなかったので、その存在は全く意識されていませんでしたが、偶然にも、「伯備線の未乗車区間を乗る日」が、8月15日でした。しかも、この旅は本当は1週間遅れで(8月20日〜の予定だった)行われる予定で、とある事情から1週間前倒しになったため、今日がサンライズ出雲92号の運転日と重なったのは、本当に全くの偶然でした。

 定期の上りサンライズ出雲号は米子19:56発で、これに乗って新見への往復を行うのはちょっと無理がありますが(時間帯的に遅すぎる)、サンライズ出雲92号は米子16:38発。比較的早い時間帯で、ホテルでちょっと休憩してから向かうのにちょうど良い時刻。やくも号で単純に往復するのはつまらないですし、これはサンライズ出雲92号を利用するべきではないか?との思いが湧いてきました。

 お金についても、寝台でも利用しようものならばとても高くつきますが、ノビノビ座席ならば、やくも号の指定席と同価格です。しばらく迷い、何日か何の指定券もとらないままに日数が過ぎましたが、数日後、結局サンライズ出雲92号の米子〜新見間のノビノビ座席の切符を購入しました。

 なお、「短距離の利用は長距離客に迷惑ではないのか?」とのご質問が飛んできそうなので、ここでお答えいたしますが、実は私もそう考えていて、最初はノビノビ座席の切符の購入をためらっていました。ノビノビ座席は一部の区間だけでも発券されれば全区間が埋まったことになる(米子〜新見で発券されれば、出雲市〜東京の全区間で発券された扱いとなり、同じ区画で岡山〜東京などでの利用はできない)とも聞いていましたしね。

 ところが、JRサイバーステーションで空席検索をかける際、「米子〜新見」や「出雲市〜松江」などでは”△”表示になる一方、「岡山〜東京」や「出雲市〜横浜」などでは”×”表示になることに気がつきました。もし、一部の区間だけでも発券されれば全区間が埋まったことになるならば、米子〜新見・出雲市〜松江などでも×になるはずです。

 それが△になるということは、ノビノビ座席は普通の座席車と同じように区間ごとでの発売となっており、同一区画での複数人の利用が認められているということに他ならないはずです。規定が変わったのでしょうか?(というか、そもそも一部の区間だけでも〜の話が嘘だったか?)

 ともあれ、私のような短区間利用は決して迷惑にはならないものであると確信したので、「誰も乗らない”余っている区間”を有効活用してJR西日本にお金を落としているわけだ」と解釈して、ノビノビ座席の切符を購入するに至りました。

 前置きが長くなりましたね。それでは、「臨特」、米子16:38のサンライズ出雲92号に乗車して新見へ向かいましょう![⑦]


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