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 中国・四国地方最大の都市、広島市の玄関口・広島駅です。広島にまつわる鉄道の話題としては、2015年3月のダイヤ改正で新型車両・227系が導入されたことが挙げられますが、もうひとつ、広島駅の隣に、新駅として新白島駅が誕生しました[②]。広島〜横川間の距離は3.0kmであり、特別に長いわけではありませんが、山陽本線と広島高速交通が交わるにも関わらず、山陽本線側に駅がなかったことが、建設の動機のひとつでした。

 駅の内外ともに人が多い広島駅。駅前もさすがは100万都市の街並み、と言いたいところですが、広島駅は、街の市街地から外れたところに位置しているため、「いかにも大都市の街中」という状況ではありません[⑤] [⑥]。また、新幹線口(北口)側には、二葉山・尾長山・牛田山といった山が近くに控えており、南口側と比べると、市域の範囲は狭いものなっています。熊本駅と似た環境です。

 街外れに位置したJR広島駅と市街地を結ぶのが、駅前で次々と発着する路線バスともうひとつ、路面電車です[⑦]。路面電車を使うことよって、広島の繁華街である紙屋町・八丁堀へ向かうことができます。街中の移動手段である一方で、路面電車(広電本線)は、郊外への輸送も担っており、西へ伸び続けた広電本線は、JRの宮島口駅の駅前にある広電宮島口駅まで達しています。

 広島市は、「橋の街」あるいは「川の街」です。市街地を太田川・天満川・旧太田川・元安川・京橋川・猿猴川という、計6本もの川が通り、その独特の地形と街並みを形成しています[⑧]。これにより、市内には、いくつもの橋が架けられました。広島駅で降りて市内を移動すれば、必ず1度は橋を渡ることになるでしょう[⑩]。住宅やビル、道路は、川に囲まれた「島」の上に整備され、その島同士を、無数の橋が結んでいます[⑪]

 「広島駅は市街地から外れている」と記しましたが、現在、駅前には、地上193mの高さに達する超高層ビル(西棟)が建築されています[⑫]。家電量販店、オフィススペース、事務所、ホテル、分譲住宅などが一堂に会する複合ビルとなる予定で、完成の暁には、広島駅前の都市機能が強化されることでしょう。2016年6月には完成する予定となっています。

 さて、そろそろ広島駅に戻りましょう。広島から乗車するのは、18:00ちょうど発の芸備線・快速みよしライナー号です[⑭]。運転見合わせなどがなく、予定通りに事が進んでいれば、2時間前の16:00発のみよしライナー号に乗車する予定でしたが、ご覧のように、それに間に合うことはできませんでした。もっとも、2時間あとの便になっても、乗りたいところに乗ってきたうえで宿に入ることが可能であることが分かっています。

 芸備線のホームで目に付いたのは、下側が紫色となっている駅名標でした[⑮]。広島近郊の路線にはラインカラーが導入されており、広島駅の駅名標の色は、そこのホームに発着する路線のラインカラーに合わせたものになっているようです。先ほど見た赤色は、「山陽本線・広島〜岩国間」の色。一方で、白市〜広島間は緑色となっており、同じ路線でありながら、広島駅を境に色が変わります。

 時刻は18:00が近づいているという頃。高校はまだ夏休み(部活で登校している人はいる)ですが、昨日でお盆休みは終わったため、ほとんどの会社は営業を再開しています。会社帰りと思われる人たちを中心に、駅に集う人の数が増えてきました[⑯]

 それは芸備線ホームでも同じです。18:00発のみよしライナー号を待つ人たちが、9番線で列をなして列車の到着を待っていました[⑳]。これから始まるみよしライナー号での移動は、「旅をしている」というよりは、日常を取り戻した世界に飛び込んでいく・・・という感じになるでしょうか。
















 快速みよしライナー号は、キハ40系首都圏色3両編成による運転でした[①]。一応、3両連結していますが、帰宅ラッシュの時間帯にかかっているためか、やはり車内は混雑していました。ただ、近くの駅で降りるつもり=座らない人が多く、通路側ながら座席に座れたのは良いことでした。

 1日に4往復運転されている快速みよしライナー号の起源を辿ると、2007年7月のダイヤ改正まで運転されていた、急行みよし号に行き着きます。使用車両であるキハ58系の老朽化と、急行料金が不要な快速列車を求める声により、快速への格下げを実施。現在のみよしライナー号へと姿を変えました。個人的には、これが急行列車で停車駅が少ない方が、旅が面白くなるんですが(笑)

 広島を出ると、列車はまず下深川までの各駅に停車します。快速列車では、列車本数が充実している都市部では通過運転を行い、列車本数が少なくなる郊外では、普通列車の代替をするために各駅停車になるということがよくありますが、みよしライナー号では、その真逆の停車駅設定を行っています。広島口で快速運転をしていては、特にこのような時間帯、広島への通勤・通学客を捌き切れなくなるということなのかもしれません。

 各駅停車区間最後の停車駅、下深川を出ると、車内も落ち着きを取り戻し始めます。車窓の風景も、郊外を越え、田舎と言って良いくらいのものになってきました[②]。下深川から先は快速運転区間に入り、いよいよみよしライナー号の本領が発揮されます。

 狩留家を通過します[③]。下り広島行きの普通列車が、こちらのみよしライナー号の通過を待っていました。広島シティネットワークの芸備線における北端の駅であるとともに、ICカードが利用できる北端の駅でもあり、芸備線による広島への通勤・通学が想定されているのはここまである、という印象を受けます。狩留家始終着の列車も多く、三次方面は、ここからはぐっと本数が少なくなります。

 18:43着の志和口では、広島行きのみよしライナー号と列車交換を行います[④]。広島行きの方が志和口に先着し、三次行きが到着するのを待つという形になっています。このような事情もあり、志和口で待たされる下りみよしライナー号(4本中3本)は、三次〜広島間1時間26分という所要時間になっており、上り三次行きの1時間20分〜22分と比較すると、やや長めになっています。

 下深川から先は、終点の三次まで、山と山に挟まれた僅かな平地を走るという状況が続きます[⑤]。右を見ても山、左を見ても山という環境で、広島の街並みが懐かしく思われるようになります。陽も沈み、まもなく夜が訪れようというころには、立ち客が出るほどに混雑していた車内もすっかりローカル線らしくなってしまいました[⑥]

 三次駅構内が混み合っているとのことで、本来は通過駅の西三次に運転停車をしました[⑦]。みよしライナー号が入線できる番線を確保した後、列車は西三次を発車し、やや遅れて終点の三次駅に到着しました。















 今日の宿は三次にとってあるので、これよりホテルへ向かいましょうか・・・というわけにはいきません。備中神代〜広島間を結ぶ芸備線は、新見〜塩町、広島〜三次間は乗車しましたが、まだ三次〜塩町間を乗車していません。そこの部分も乗車しないことには、芸備線の全線乗車を果たすことはできません。翌朝にやっても良いんですが、今日中にやっておくということで、19:23発の備後落合行きに乗車しました[①]

 車両は、もうこの旅の中でも何度も乗車しているキハ120形でしたが、これまでに乗車してきたものとは異なり、オールロングシートという車内になっていました[②]。4つ扉の通勤型車両とは異なり、やや車体長が短いといえども、前後に扉が1つずつの2つ扉という車両なので、ロングシートは途切れることなく延々と続いており、まさに文字通りの「ロング」さを見せつけます。

 三次の次は八次です[③]。「三の次」と書いて「みよし」だったので、ついつい「八の次だから”やよし”か」と思いたくなりますが、残念ながら、そのような考えに至ってしまった方は、見事に騙されてしまっています。ここは特にひねることなく「やつぎ」と読むのが正しいです。そうなると、なぜこのような読み方の違いが生まれてしまったのか、その理由が気になってきてしまいますね。

 当初の予定では、三次17:30発・塩町17:41着、塩町18:22発・三次18:33という移動をする予定でした。しかし、ご覧のように、予定通りの移動をすることは叶いませんでした。三次〜塩町間は乗るだけで良いと考えており、できるだけ早くホテルに行きたいと思っていたところ、この364Dが塩町19:35発着である一方、備後落合から来る365Dという列車も、塩町19:35発着であるということが分かりました。

 時刻表上はお互いに同着・同発。しかし、もしかしたら、塩町で下車したときにそのまま三次行きに乗れるのではないか?と思いました。時刻表上では秒単位の数字は切り捨てられていますが、こちらが塩町19:35-15秒着、向こうが塩町19:35-30秒発、といったダイヤになっている可能性を否定することはできません。どうなるかは分かりませんが、挑戦してみる価値はあります。

 で、結局、塩町で下車してみてどうなったのかというと・・・、あああああっと!! そんな!![④]  結論。364Dの扉が開くのよりも早く、365Dの扉が閉まってしまい、列車は、三次へ向けて走り去って行ってしまいました・・・。

 いや、もしこちらが定刻運転であったならば、結果は変わっていたのかもしれません。というのも、先ほど乗車したみよしライナー号は、西三次で運転停車をしたことにより、その三次到着がやや遅れてしまっていました。それを受け、備後落合行きの364Dも、 みよしライナー号からの乗り換えを待って発車するということになり、やや遅れての運転となっていました。

 備後落合行きの発車を見送ります[⑤]。うーん、本当は、こうなるはずじゃなかったんだけどなぁ・・・[⑥]


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