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 特急ソニック48号に乗車し、小倉を目指します[①]。乗車するのは1号車ですが、別にグリーン車に乗るわけではありません[②]。旅程の都合上、「6回の指定席券無料発券の権利をなんとか使い切れた」という状態なので、その権利さえ使い切らずに別料金を支払ってグリーン車に乗ることなどさすがにやりません。なお、アラウンド九州きっぷの場合、グリーン車は、特急料金を含まない「グリーン料金券」の購入で乗車でき、格安で乗れます。

 883系のソニック48号がやってきました[③]。博多方面行きの場合、1号車は、大分〜小倉間では最後尾です。1号車は運転室寄りがグリーン車、7号車寄りは普通車指定席という半室構造で、普通車の空間も座席が5列分しかないという、やや狭いものとなっています[④]。同じ空間にいる人の数が少なくなるので、少しでも落ち着きのある空間が欲しいという方は、1号車の指定席を指名するのも良いかもしれません。

 夕暮れが迫りつつある別府湾[⑥]。別府からは八幡浜行きや大阪行きのフェリーが出ており、これらを上手く使うと、鉄道旅行の幅が広がるかもしれません。特に、別府〜八幡浜は、馬鹿正直に鉄道で移動したら大変な時間がかかるので、九州〜四国間の短絡路として価値があります。

 このソニック48号は、大分〜小倉間において、途中別府・中津・行橋のみに停車するという速達便です。特急列車も停車する主要駅、杵築も通過してしまいます[⑦]。別府を出ると、中津まで約70km、一切の運転停車もなく、ひたすら飛ばし続けます。曲線のきつい悪路が眼前に迫っても、振り子式車両である883系にかかれば、どうということはありません。無用な減速をすることなく突入していきます[⑧]

 大分行きのソニック号とすれ違い・・・と言いたいところですが、「すれ違う」とするには、あまりにも距離が離れすぎています[⑨]。日豊本線は、1区間ずつや2区間ずつ複線化、3日後や7日後に次の区間を複線化など、極めて段階的に複線化を進めてきました。用地確保などの都合のためか、日豊本線には、上下線が離れているという区間が多数あります。また、並行していてもやけに隙間があるという場合もあります[⑩]

 ソニック48号の激走はなおも続き、宇佐も通過します[⑪]。中津発宇佐行きとして到着したと思われる815系の横を駆け抜けていきます。柳ケ浦を通過する前に渡る駅館川(やっかんがわ)は、周防灘に注ぐ川で、日豊本線の列車内からは、周防灘と駅館川がまさに接する部分を見られます[⑫]

 一度走り出したら停まらないという勢いで北西へ進んできたソニック48号ですが、停車駅の中津が近づいてきました[⑬]。別府から38分で到着した中津は、2面4線の高架駅で、ガラス越しにはビルやマンションが見えています[⑭]。利用客数も多く、なるほど速達便のソニック号さえ停まるのも頷ける、というところです。なぜか街外れに駅がある杵築・宇佐・柳ケ浦などとは異なり、中津は市街地のど真ん中にあります。

 再び周防灘が見えてきました[⑮]。対岸という対岸は見えていませんが、この向こうには、本州・山口県があります。山口県をはじめとして、西日本の様々な都道府県を時間をかけながら通過し、長い時間をかけてようやく辿り着いた九州。山陽本線の列車で門司駅に着いたときの「達成感」を思い出すと、北斗星号やカシオペア号などで北海道に上陸した程度で「ついに北海道にやってきた!」と思っていたのが馬鹿馬鹿しく思えてきます。

 中津と共に全ての特急列車が停車する主要駅、行橋に到着しました[⑯]。指定席車両も含め、ここで多くの人が乗車しました。「今更」と言って良いものか分かりませんが、もう次は小倉というところまでやってきたのに、行橋から博多方面の特急列車に乗る人もかなりいるんですね。さすがに小倉で降りてはいかないでしょうが、博多が目的地であると考えれば、博多行きの特急に乗るのも、そこまでおかしな話ではないでしょうか。

 いつの間にか雲行きが怪しくなっていました[⑰]。時間帯的に言って、たしかに夕暮れは近づいてきていますが、それにしても暗すぎるような気がします。雨が心配されますね。今後の天気の動向が気になる中、日田彦山線と接続する城野を通過[⑱]。同線のキハ40系がいました。

 18:03、下車駅の小倉に到着しました[⑲]。別府〜小倉間約120.8km、所要時間1時間10分。表定速度は103km/h以上にも及びます。





















 福岡県北部は、路線が入り組んでいて、複雑な路線網を形成しています[①]。もっとも、一昔前までは、行橋〜田川伊田間の田川線、直方〜田川伊田間の伊田線、金田〜田川後藤寺間の糸田線(以上は三セク化)、吉塚〜筑前勝田の勝田線(バス転換)・・・その他多数など、福岡県北部には、更に多くのJR線(国鉄線)がありました。路線網は、これでも相当簡素になったものです。

 雨が降るのではないかと心配していましたが、案の定、ソニック48号に乗車しているときから雨が降り始め、小倉駅は大雨となっていました[②]。こんな雨の中で次の列車に乗車しなければなりません。次に乗るのは、18:21発の日田彦山線直通の添田行きです[③]

 発車の4分ほど前になって、ようやく添田行きのキハ40系がやってきました[④]。日田彦山線は城野で分岐する路線ですが、城野始終着の列車はなく、全ての列車が小倉まで乗り入れてきています。小倉〜城野間においては、日豊本線の増発列車の役割も兼ねています。

 雨が降りしきる小倉駅を後にして、ソニック48号で辿ってきた日豊本線を逆戻りしていきます。雨の中をやってきたのは、813系による門司港行きの準快速列車でした[⑤]。JR西日本の新快速、JR東海の特別快速など、JRグループには、通常の快速の上を行く種別が存在していますが、JR九州には、準快速という、通常の快速にやや劣る列車のための種別が用意されています。

 終点まで各駅に停車していく971Dは、まず西小倉に停車します[⑥]。屋根がかかっていない部分の状況を見てみるだけで、この雨の激しさがお分かりいただけることかと思います。当然、そんな部分には誰も行かないため、列車に乗車しようとする人は、皆屋根の下にいます。今日は屋根がかかる部分の車両が混み合いそうですね。

 日田彦山線の起点駅、城野に到着[⑦]。ここで降りてしまう人もそれなりにいます。城野を出て4つ目の駅、石原町では、小倉行きの普通列車と列車交換[⑧]。ここは、1日に1本だけ運転される日田彦山線唯一の快速列車、添田発小倉行き快速列車の停車駅にもなっています。

 時間帯的に言って、もう後は暗くなるだけ・・・と思っていましたが、空が少し明るくなってきました[⑨]。しかし、晴れているわけでもないのにやけに黄色い空という、なんだか不気味さの漂う空模様。空が明るくなったといっても、雨は相変わらずの本降りです。

 採銅所では4分停車し、また小倉行きの普通列車との列車交換を行います[⑩]。「採銅所」という駅名がついていますが、この辺りで主に採れていたのは石灰石であり、銅がたくさん採れていたというわけではないようです。当地と銅の関係で言うと、8世紀ごろに、東大寺の大仏を建立するためにこの地の銅が使われていたとされている程度で、戦前や戦後に銅の採掘が盛んだったということではないようです。

 19:26、下車駅の田川後藤寺に到着[⑪]。この駅から次に乗る路線の名前とその結ぶ区間がすぐに思い浮かぶ方は、JR線の事情に相当精通されている方でしょう。次に乗る路線は、私の中では、「JR線で1番地味な路線」となっている路線です。


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