13:12発の小倉行きに乗車し、小倉へ向かいます[①]。門司駅構内で直流から交流に変わる、つまり、交直両方の電化方式の区間を走るため、山陽本線・鹿児島本線経由で九州と本州を結ぶ列車は、全て交直両用の415系で運転されます[②]。この鋼製の白い415系は、かつては地元・常磐線でも走っていた車両であり、少し懐かしく思うものがあります。
回送列車として動いている真っ黄色の115系を追い抜き[④]、下関貨物駅と先ほど乗車した?キハ47形を横目に見ながら[⑤]、九州へ向かって加速していきます。列車は、海峡を渡る橋の手前にあるクロスポイントを通って・・・、なんと上り線に入ってしまいました[⑥]。この列車が本来入るべき下り線は、今、進行方向左側に見えてしまっています。
しかし、心配することはありません。関門トンネルの前後の区間は、上り線、または下り線を単線として使用することができる「
双単線」となっています。関門トンネルでは、片方の線路を日中に点検するといった理由のために、もう片方の線路を単線として使用し、上下両方の列車を通すということがしばしばあります。恐らく、現在、下り線の点検作業が行われているのでしょう。
そしていよいよ関門トンネルに突入[⑦]。関門海峡の下を通り、本州から九州へと移ります。ただ、3分とかからずにトンネルを脱出してしまうので、青函トンネルを通り抜けたときのような「いよいよやってきたぞ」という感覚は全くありません。感想としても、ちょっと長めのトンネルだったな、という程度のものです。当たり前と言えば当たり前、意外と言えば意外ですが、関門海峡と津軽海峡では、その幅が全く違います。
門司駅の構内で、直流から交流へ変わります。設計の古い415系では、交直転換の死電区間を通過するときは、非常灯を除き、車内の照明がいったん消えます[⑧] [⑨]。消えた照明が再度点灯すれば、それは、交流区間への進入に成功した証ということになります。
小倉駅の手前で、新関門トンネルを抜けてきた山陽新幹線の高架橋が現れます[⑩]。列車は13:25、終点の小倉に到着しました[⑪]。
「関門トンネルは3分もかからずに抜けた」と言えば、たしかに、あっけない九州上陸だったかもしれません。しかし、普通は東海道新幹線・山陽新幹線、または東海道本線・山陽本線・鹿児島本線という、せいぜい2つか3つの路線だけで移動する東京〜小倉間を、私は、JR西日本のローカル線を中心としたいくつもの路線を経由し、途中で6泊もするほどの時間をかけて移動しました。
経由した路線は、東北新幹線・上越新幹線・北陸新幹線・北陸・小浜・山陰・福知山・加古川・山陽・姫新・因美・山陰・(境)・木次・芸備・福塩・山陽・芸備・三江・山陰・山口・山陽・美祢・山陰・山陽・鹿児島となります。これほどの路線の数と時間をかけて小倉までやってきたわけですから、そのように考えれば、一種の感慨深さがないはずがありません。
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