普通の座席でやろうものなら憚られることですが・・・、「自分1人しかいない個室」ということで、ソファーの上に寝っ転がってみました[①]。L字型のソファーなので、体を伸ばして寝るというわけにはいきませんが、体を曲げれば、全身がソファーの上に載ります[②]。また、体を伸ばして寝たければ、毛布を枕にして床に寝るということも、別にできないわけではありません。何せ「個室」ですからね。
かつては、博多〜西鹿児島間に、787系を使用した夜行特急・ドリームつばめ号が運転されていましたが、その列車でグリーン個室を利用すれば、「疑似個室寝台」のようなこともでき、さぞかし快適な移動ができたのでしょう。試してみたかったものです。
8:55、臼杵に到着[③]。佐伯発着のソニック号が1日に2往復のみ運転されており、臼杵駅にも停車しています。臼杵の次の津久見〜佐伯間では、津久見湾や佐伯湾の景色が垣間見えます[④]。海岸線ぎりぎりというところは走りませんが、突き出た陸地が織り成す入り江の景色が楽しめます。
佐伯を出ると、列車は、日豊本線の中で最も閑散とした区間に入ります。佐伯〜延岡間は、大分県と宮崎県の県境を越える区間であり、人口希薄地帯です。同区間を走る列車は、途中駅には一切停車しない特急列車が大半で、普通列車は、なんと1日に3往復しかありません。佐伯の次の上岡までは、一応住宅地などが続きますが、上岡を出ると、直川以外の駅は、民家もまばらという駅ばかりになります。
海沿いから内陸へと進路を変え、列車は山深いところを走るようになります[⑤]。トンネル通過が頻発するようになり、山間の険しいところを走っていることがうかがえます[⑥]。佐伯〜延岡間は、ローカル線並みの最高速度85km/hとなり、特急列車でさえ、その走りはのんびりとしたものです。途中駅は全て通過でありながら、にちりん3号は、同区間を1時間1分もかけて走り、表定速度は57km/h程度となっています。
重岡駅を通過します[⑦]。山と山に挟まれた僅かな土地にある小さな駅ですが、ドライブ中(峠攻め?)と思われるクラッシックカーやスポーツカーが集っていました。続いて秘境駅として名高い宗太郎駅を通過[⑧]。上岡−直見、重岡−宗太郎と、佐伯〜延岡間は、2駅の駅名を続けて読むと人名のようになる駅があることでも知られています。
山間を突き進む単線の橋梁[⑨]。新幹線であれば、山間部を走るということになれば、もうひたすらにトンネルで突き進んでしまうのでしょうが、古くに開通した在来線・日豊本線では、右へ左へ彷徨いながら、まさに「縫うように」線路が敷設されています。
日向長井を通過します[⑩]。この辺りまで来ると、辺りが少し開けてきます。もっとも、民家はまだまだ少なく、人口希薄地帯であることには変わりありません。ただし、市棚〜延岡間には、区間運転の列車が1往復運転されているため、本数は、佐伯〜市棚間よりも1往復だけ多くなっています。10:27に宮崎県内最初の停車駅・延岡に到着し、山越えの区間が終了します[⑪]。
日向灘が見えてきました[⑫]。南延岡〜日向新富間では、日向灘の近くを走る区間も多いため、海景色に期待ができます。適度に発展した街並みを見ながら高架区間に入っていくと[⑬]、ガラス張りの壁を擁した高架駅・日向市に到着します[⑭]。
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