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 佐用で更に列車を乗り換え、津山を目指します。今日の目的地は津山なので、これから乗る津山行きの列車を乗り切れば、地獄の普通列車祭りから脱出することができます。佐用行きの列車が到着した1番線の向かい側の2番線で、津山行きのキハ120形が待ち構えていました[①]

 佐用は、智頭急行線と接続しています[②]。この智頭急行線を介して、京都・大阪〜鳥取・倉吉間に特急スーパーはくと号、岡山〜鳥取間に特急スーパーいなば号が運転されており、智頭急行線は、現代の陰陽連絡線と言えなくもないかもしれません。ただし、特筆すべきことは、それがJRの路線ではなく、第三セクターの智頭急行の路線であるということです。

 列車は定刻で佐用を発車しました[⑤]。左のホームが智頭急行線のホーム、右のホームが姫新線のホームですが、前者の方が有効長が長く見えますね。その感覚は間違いではなく、智頭急行線のホームが有効長約140m(7両分)であるのに対し、姫新線のホームは有効長約120m(6両分)となっています。普通列車しか来ない姫新線、特急列車も来る智頭急行線。その差は、ホームの有効長となって表れています。

 智頭急行線と姫新線は、しばらくの間並走します[⑥]。PC枕木が敷かれ、除草も行き届いている智頭急行線(左)と、木の枕木が使われ続け、雑草も生え放題の姫新線(右)。手のかけられ方の違いがあからさまに出ています。左がJRの線路、右が第三セクターの線路と言われれば、それはすんなりと納得がいくところですが、左が第三セクターの線路、右がJRの線路と言われても、にわかには信じがたいです。

 佐用〜上月の1区間で、姫新線は、3度も川を渡ります[⑦]。このあたりは、川の蛇行や分岐・合流が多発する地域のようであり、その地形的な険しさを窺い知ることができます。川を3度も渡った果てに到着するのは上月で[⑧]、ここは兵庫県内最後の駅です。上月を発車した後のすぐの区間は、川と森の間のごく僅かな土地に線路が敷設されており、ある種のスリルを味わえる環境になっています[⑨]

 木々の間を潜り抜けたり[⑩]、あるいはトンネルを突き抜けたり[⑪]。その線形は、お世辞にも良いと言えたものではありません。しかし、そういった険しい区間を、ゆっくりではありながらも力強く駆け抜けるこの列車に乗車していると、線形も車両も整えられた区間での「滑るような」とは違う、「走る」ということそのものを感じ取れます。流れゆく車窓、聞こえる音、体に響く振動。その全ては、まさに「走り」そのものです。

 落ち葉を蹴散らしつつ、キハ120形は西へ進みます[⑬]。列車は16:40、林野に到着しました[⑭]。美作市の代表駅ではありますが、単式1面1線という、必要最小限度の設備を持つ駅となっています。ホームのすぐ裏手に建つアパートは、かつて存在したもう1つの線路を剥がしたことで生まれた敷地に建設されたものとのことですが、姫新線の利用者は減っていても、このあたりの人口は増えていたのでしょうか?

 16:45、勝間田に到着[⑮]。列車交換を行うため、ここでは、4分の停車時間が設けられています。キハ120形の向こうに見える、木造ならではの風合いを持つ味のある駅舎は、色褪せたポスターの存在も相まって、その古めかしさを存分に振りまいていました[⑯]

 佐用行きの普通列車の到着を受け、津山行きの普通列車は、また津山を目指して動き出しました[⑱]。西勝間田、美作大崎と停車すると、次は東津山に停車しますが、その手前で、東津山〜鳥取間を結ぶ因美線と合流します[⑲]。奥左側が因美線、奥右側が姫新線です。ここでは、両線がいったん合流して単線(長さは僅か7m程度)になった後、またすぐに分岐する(東津山は2面2線)という、やや面白い光景が見られました。

 東津山の次は終点の津山。そして列車は17:07、終点の津山に到着しました[⑳]。佐用からは1時間2分という所要時間ですが、何せ今日は普通列車にしか乗らなかったので、津山到着時の達成感、そして疲労感は、まるで佐用〜津山間が5時間程度かかっていたかのようなものでした。























 今日の最終目的地、津山駅です。岡山県北部の都市・津山市を代表する駅であるとともに、津山線・姫新線・因美線(東津山からの乗り入れ)の3路線が集う主要駅です。津山駅前では、対大阪方面の高速バスが30分〜1時間間隔で多数発着していますが、そこに国鉄バス(現JRバス)も参入していたからか、乗り換えの案内に、「岡山・新見方面」と共に、「中国ハイウェイ−バス」の表記がありました[②]

 先ほど乗車したキハ120形は、行き先表示を美作江見に変えると、東津山方面へ引き上げていきました[③]。18:35発の美作江見行きという列車がありますが、その列車が運転されるまでには、まだ少し時間があります。その後の行方は見ていませんが、美作江見・佐用方面への列車は必ず2番線から発車するので、到着した1番線から2番線への入れ換えでもするつもりだったのでしょうか。

 駅構内には、岡山気動車区の津山派出所があります[④]。もっとも、この車両基地自体は特に目立つものではなく、注目されるものといえば、その先にある扇形機関車庫と転車台でしょう。写真右側に写っているコンクリート造りの建物が扇形機関車庫です。扇形をした機関車庫は蒸気機関車向けの設備ですが、その庫内で静態保存されている車両には、キハ181系の先頭車両、キハ33形、DD51形などもあります。

 津山〜大阪などの移動は、昔は姫新線だったのでしょうが、今ではすっかり高速バスです。では、対東京のときはどうなのか。高速バスは新大阪駅に立ち寄るので、高速バス&新幹線という手段もありますが、津山線で岡山へ行き、そこから新幹線という手段もあります。運賃・所要時間は平均的には大差ないようですが、より主流なのはどちらなのか? 駅舎内には、岡山〜東京都区内の新幹線の割引切符の宣伝がありました[⑦]

 津山駅前の様子[⑨]。しかし、今のこの津山駅前の眺めは、近い将来に変貌を遂げます。現在、津山駅前では工事が行われており、これが完成すると、バスのロータリーが整備され、現在は駅近くの広域バスセンターで発着している路線バスが駅前にやってくるようになったり、自家用車用のロータリーや歩行者用の屋根が整備されたりするなど、その景観も機能性も大きく変わります[⑩]

 駅前では、大阪方面への高速バスが発着しています[⑪]。津山駅前からは、6:00発の便を皮切りに、以後18:30発の最終便まで、30分〜1時間間隔で出発しており、安価・高頻度・直通・高速を武器に、津山対大阪の移動において、鉄道を圧倒しています。一方、鉄道はバスより初発が早く、最終が遅いので、早朝・夜に津山から大阪へ行きたいということになれば、利用価値が出てきます(まあ、バスより遥かに高くつきますが・・・)。

 さて、今日の宿は、津山駅前にあるホテル・アルファーワン津山です[⑫]。津山駅のホームからその建物が見えるくらいに近く、公式的には、津山駅より徒歩2分であるとされています。部屋の写真も掲載しますが、全国展開をしているアルファーワンですから、部屋の設備や内装は全国でほぼ共通で、特に私が申し上げることはないのでしょう[⑬]。このなんとなく古臭い感じのする内装がアルファーワンの特徴でしょうか。

 なお、私は特定の系列のホテルにばかり宿泊するようなことはせず、その都度違う系列のホテルを選び、各ホテルの設備や内装、サービスを比較するのが、ある種の趣味になっています。ですから、本当はこのような全国展開のホテルはあまり好まない(その土地にだけあるというようなホテルが一番素晴らしい)のですが、徒歩2分はさすがに魅力的でした。

 ちなみに、今日の部屋は図らずも駅側となっていて、窓から「トレインビュー」ができました[⑭]


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