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 白沢から指宿行きの列車に乗車します[①]。今日は薩摩塩屋、白沢という2つの駅で下車してみましたが、指宿枕崎線で「降りてみるべき駅」といえば、このような駅ではないでしょう。これから目指す駅は、例のあの駅です。

 石垣〜御領間を走行中の風景。東シナ海が近いということもあってか、このあたりは、なんとなく川や水路が多いような気がします[②]。もっとも、地図を見ればすぐに名前が分かるような川はほとんどなく、大抵(というか全部?)は用水路のように思われるものです。

 今日もまた開聞岳が見えてきた・・・と思いましたが、ちょっと位置も形も違うように思われます。で、結局のところどうなのかというと、この山は、どうやら大野岳と呼ばれる山のようです[③]。標高は開聞岳の約半分であり、そう言われてみると、たしかに迫力不足であるようにも思われます。その代わり、山を螺旋状に上っていく道路が整備されており、車での登頂も可能。「お気軽度」は高いと言えるでしょう。

 山川〜枕崎間では随一の主要駅・西頴娃[④]。同区間唯一の係員配置(簡易委託)駅、唯一の交換可能駅、そして唯一の始終着列車設定駅と、まさに要としての役割を担っています。他の駅と比較してみると、ここでの乗降の多さはたしかなものです。

 東開聞駅に到着[⑤]。隣の開聞駅は、開聞岳の登山口への最寄り駅であるとともに、駅周辺にも結構な数の民家がありますが、ひとつ隣の東開聞は、片方(この写真の反対側)は林に塞がれ、もう片方もひたすらに畑が広がるだけで民家は離れたところにあるという、かなり寂しい駅です。

 8:29に列車は西大山に到着。「私は観光客です」という人がホームで列車を待ち構えていたあたり、一般への注目度も高いことが分かります[⑥]























 勇壮なる開聞岳を間近に望む駅、西大山[①]。ホームからは芸術的な美しさを持つ開聞岳の姿を見られます。それだけでも十二分に素敵な駅ですが、西大山駅を西大山駅たらしめているのは、やはりこちらの事実でしょう。

 その事実とは、「JR日本最南端の駅」であること[③]。”西”大山が最”南”端というのは、最東端なのに南鳥島・・・を思わせるような「ズレ」がありますが、もちろん、これは「大山駅よりも大きく西にあると同時に、少しだけ南にある」ことの結果です。西●●駅だからといって、南北方向の緯度は全く動きません、ということはありえませんからね。

 なお、西大山駅は、かつては文句なしの「日本最南端の駅」でした。しかし、2003年に沖縄でモノレール(モノレールは広義では鉄道に含まれる)が開業したことで、「本土最南端の駅」に改められました。その後、「沖縄は本土ではないのか」という文句が寄せられたため、今度は「JR日本最南端の駅」に改められました。でも・・・、「JR日本最南端の駅」だと、何か押しが弱いですね。

 40ページにおいて、西大山駅を「日本最南端の駅」、枕崎駅のことを「日本最南端の始終着駅」と書いたように、私は、沖縄のモノレールについては、その存在を意図的に無視しています。これは、モノレールは広義における鉄道であり、「2本のレールの上を車輪のついた車両が走る」という狭義の鉄道には属していないうえに、私の中における「鉄道」の定義が、後者の狭義のものであるためです。

 日本最南端の駅の標示と共に眺める開聞岳[④]。「日本最●端の駅」は、他にも東・西・北の3つがありますが、その実態は、いずれも街や住宅街の中にある駅で、特段素晴らしい眺めが得られる駅ではありません。「絶景」がついてくるのは、日本最西端の駅・西大山駅だけです。

 今日の開聞岳は、頂上に雲がかかっていて、残念ながら、その美しき全貌を拝むことはできませんでした[⑤]。とはいえ、山頂が山の全てではありません。開聞岳の場合、左右で均整の取れたそのなだらかな傾斜にも注目する必要があります。半分だけの山が用意され、それを左右反転したものを置いたかのような「対称性」は、山頂が雲で覆われていてもしっかりと分かります。

 日本最西端の駅は、松浦鉄道のたびら平戸口駅ですが、JRに限定すると、それは佐世保駅となります。最東端・東根室、最西端・佐世保、最南端・西大山、最北端・稚内[⑥]。私はこれらの4つの駅全てでの下車を果たしました。

 「日本最西端」という肩書きが功を奏して、西大山駅は、今や立派な観光地となりました。駅名標と日本最西端の駅の標示が駅前側にもあるのは、まさに「記念撮影に使ってくれ」と言わんばかり[⑦]。実際、私が駅にやってきたときには、駅前に観光バスが停まっていました[⑧]。この他にも、他県や九州島外のナンバーを付けた自家用車が次々と発着し、その観光地化の一面を垣間見ました。

 世の中には様々な種類のポストがありますが、西大山駅前にあるポストは、「幸せを届ける黄色いポスト」です[⑨]。なぜ黄色なのか、というのが疑問として湧いてくるところですが、指宿市の市の花のひとつが菜の花であることが関係しているように思われます。

 バスでやってきた観光客たち(台湾人か)が出迎える中、9:00発の指宿行きの普通列車がやってきました[⑩]。当然、彼らは列車に乗るはずはなく、乗車したのは私だけ。一方、降りる人はゼロ。ここはなんだかんだ言っても、日本最西端の「駅」なわけですから、是非列車で訪れていただきたいと思うんですが、駅周辺で見かけた来訪者というのは、皆観光バスか自家用車で来た人ばかりで・・・。

 列車は大山、山川の順に停車し、私は山川で下車します[⑫]。 5324Dはひとつ先の指宿が終点です[⑬]























 山川にやってきました[①]。西大山駅を出る山川方面の列車は、8:29発の指宿行き(枕崎始発)の次は、9:00発の指宿行き(西頴娃始発)となっているため、やけに長い待ち時間や逆方向の列車に乗っての「お出迎え」をすることなく、ちょうど良い待ち時間で鹿児島中央方面へ向かえます。

 駅の外には出ませんが、ホームからうまいこと駅舎を撮れそうだったので、山川駅の駅舎を撮っておきました[②]。写真の右端を見てみると、「日本最南端の有人駅」と書いてありますが、その記述通り、ここは「有人駅」としては日本最南端の駅です。根室駅と東根室駅も、後者が「無人駅で最東端の駅」であるため、前者は「日本最東端の有人駅」を名乗っています。

 この山川から、キハ200系の快速なのはな号に乗車します[③]。 3扉の車両ですが、冷房効果を高めるために、2/3は閉扉するという扱いがとられていました[④]。座席は全て転換式クロスシートで、ロングシートは車端部にすらも一切合財ありません[⑥]

 「何としても海側の座席を」という思いから、山川駅の外に出るのも放棄して、とっとと列車に乗り込みましたが、車内はガラガラでした[⑦]。この先、鹿児島中央に近づくにつれて、徐々に混雑していくのでしょうが、山川駅の1日平均の乗車人員は、220人程度にすぎません。山川始発の列車がそこでいきなり満席になる、あるいは窓側の座席が全て埋まる、というのは、4両も連結していれば、まずありえないことでした。

 山川を出ると、いきなり鹿児島湾が見えてきます[⑧]。海面にぎらぎらと反射する太陽の光の眩しいこと。対岸の陸地が見えていますが、山川(指宿市)〜根占(南大隅町)の間には、フェリーが運航されています。もっとも、南大隅町には鉄道が通っていないので、鉄道旅行をするときには、あまり役に立たないかと思われますが・・・。

 山川の次は指宿です[⑨]。10:57発の特急指宿のたまて箱2号がありますが、時間が合わないため、このまま快速なのはな号で鹿児島中央へ向かいます。ただ、仮に5分や10分の待ち時間でそれに乗ることができていたとしても、アラウンド九州きっぷを使っていないのであれば、私は乗っていないでしょう。正直、あんな列車に指定席特急料金(1130円)を出してまで乗りたいと微塵も思わないので。

 指宿から五位野までは快速運転を行います。昨日の枕崎へ行くときは各駅停車で、相当にじれったいものだったので、薩摩今和泉[⑩]、生見[⑪]など、利用客が少ないと思われる駅を飛ばしていく場面は、爽快感が2倍増しです。生見〜前之浜間では、昨日は山側の座席に座っていたがために見られなかった鹿児島湾の眺めも堪能し、リベンジを果たすこともできました[⑫]

 さて、ここで指宿枕崎線の「迷車窓」をご案内しましょう。上り列車で前之浜駅を過ぎてしばらくすると、海側にスズキ自販喜入の店舗が現れます。ここの取り扱い車種の看板を見てみると・・・、「ワゴソR」などという文字が[⑬]。あの軽自動車、ワゴ”ン”Rではありません。ワゴ”ソ”Rです。看板の製作元がンとソを間違えた(そんなことあるか?)か、あるいは破損したときにとりあえずソリオの”ソ”を貼り付けたのか。謎は深まるばかり。

 中名でキハ200系の普通列車と列車交換[⑭]。通過駅ですが、運転停車をしたうえでの行き違いでした。


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