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 では、そろそろ次の列車に乗車しましょうか。佐世保から乗車するのは、17:25発の大村線経由・快速シーサイドライナー号です[①]。発車標に「市布経由」とありますが、これは大村線を経由するという意味ではなく、諫早から先の長崎本線において、市布を経由する新線、長与を経由する旧線のどちらを通るのかという点について、新線を経由するということを意味しています。

 車両は青色のシーサイドライナー塗装をまとったキハ66・67形[②]。登場時の国鉄色をまとった編成もあるとのことで、それが来れば面白いと思っていましたが・・・、残念。佐世保〜長崎間を大村線経由で走る快速列車には、全て「シーサイドライナー」の愛称名が付与されていますが、車両の方向幕には、そのような列車名は書かれておらず、「快速」とだけ書かれています[③]

 車内はセミクロスシートの配置となっており、車両中央部のクロスシートは、転換式となっています。クロスシートは車端部にも配置されていますが、車端部にあるものは、背もたれが固定式となっています[④]

 港の海と中国から来たフェリーを横目に、高架となっている佐世保を発車しました[⑤]。みどり号では通過した日宇、大塔にそれぞれ停車して、17:37に早岐に到着します[⑥]。佐世保線同士(先ほどのみどり号など)だと進行方向を変えなければならないのに、異なる路線、つまり佐世保線〜大村線で相互に行き来する場合、進行方向を変える必要はなく、そのまま進めます。

 早岐瀬戸の向こうに見える、ホテルオークラJRハウステンボスの建物[⑦]。JRを利用して早岐方面からハウステンボスへ来た人たちは、必ずこの光景を目にすることになります。まるで早岐瀬戸の中に浮かんだ島のように見えるハウステンボスの敷地、緑の木々に囲まれながらその姿を見せる、いかにもオランダ風という外観をしたホテルの建物。この眺めは、ハウステンボスへ向かう人たちの心を高揚させるに違いありません。

 佐世保〜ハウステンボス間は各駅停車でしたが、ここからは快速運転を行います。まずは手始めに南風崎を通過[⑧]。大村線内の途中駅は、通過6に対して停車5となっており、通過する駅の数の方が多くなっています。また、長崎本線に入る諫早から先でも快速運転を継続するので、シーサイドライナー号は、比較的速達性の高い快速列車であると思います。

 大村線の特色といえば、なんといっても、雄大なる大村湾の眺めでしょう[⑨]。区間によっては、これは度胸試しでもしているのかというくらいに湾に近づきます。完全なる海ではなく「湾」であるため、遠くには対岸の山々が見えており[⑩]、これの存在が、「どこまでも果てしなく広がる水平線」とはまた違った眺めを提供してくれます。やがて空は夕焼けによって色づき始め、これまたひときわ美しい眺めが乗客たちにもたらされます[⑪]

 さて、シーサイドライナー号ですが、彼杵までは順調であったものの、対向列車の遅れにより、同駅を9分も遅れて発車しました。 諫早到着[⑫]は6分遅れ程度であったものの、今度は「遅れている下り特急を先行させる」との理由により、諫早でしばし停車、同駅を17分遅れで発車。その後も、本来なら1分も停車しない喜々津で[⑭]で対向の普通列車を待ち[⑮]、同駅を21分遅れで発車するなど、もうめちゃくちゃ。

 ようやく喜々津を発車したと思ったら、その次の市布(ここは本当は通過駅)で運転停車[⑯]。ここでも対向列車を待たされ[⑰](相手は特急だからまあ仕方ない)、ついには駅ですらないトンネル内で運転停車して対向列車を待つ始末。運転士もいい加減いちいち放送するのが面倒臭くなったのか、トンネル内の運転停車では一切の案内放送も流されず、そのまま、7分間にわたって運転停車が続きました。

 で、結局、下車駅の浦上には、33分も遅れて到着しました[⑱]。こちらは一応速達性を求めて快速列車に乗ったというのに、快速列車に乗った意味がまるで台無しに。この近辺には単線区間があるので、ある列車で発生した遅れが、他のあらゆる列車に波及し続けたということなのでしょうが、だいたい、豪雨や豪雪でもないのに遅れるというのがよく分からない。ちょっとの遅れでダイヤが破綻するなら、そもそもダイヤ構成に無理がある。

 車両故障なら車両故障で別に構いませんし、乗客同士のトラブルなら乗客同士のトラブルでも別に構いませんが、「反対列車が遅れている」を繰り返すばかりで、なぜ列車に遅れがもたらされたのかという理由を一向に述べてくれません。JR九州の運行情報には理由が書いてあるか、と思ったら、「平常通り運転中」。シーサイドライナー号だけならともかく、ありとあらゆる列車が遅れているのに。遺憾ながら、久々にとてもイライラしました。















 浦上駅にやってきましたが・・・、これは、「ある事情」によるものです。そう隠さずに教えろよ、と言われてしまいそうですが、ここは「ある事情」ということでご容赦願いたいと思います。たしかなことは、別に降りたくて降りたわけではなく、降りずに済むのならば、このまま長崎駅まで行ってしまいたかった、ということです。ただ、そうするわけにはいかなかったんです。

 浦上駅は現在高架化工事中であり、その影響で、下り線が仮線になっていたり[①]、駅舎が仮設のものになっていたりと[③]、「真の浦上駅」と言える状態ではありませんでした。高架化工事の完了は2020年?が予定されており、完成までには、まだまだ時間がかかるようです。

 今日の最終目的地は長崎です。駅前には、長崎電気軌道(路面電車)の「浦上駅前電停」があり[④]、現在、長崎本線のダイヤが乱れているということを踏まえて、「次の列車がいつ来るか分からない長崎本線ではなく、平常運転をしていそうな路面電車を使って長崎駅に乗り込んでも良いのでは」と思いましたが、やはり、そういうわけにはいきませんでした。

 19:45ごろ、長崎行きの普通列車がやってきました[⑤]。しかし、「浦上19:45発の長崎行き」という列車は、時刻表には存在していません。恐らく、遅延している浦上19:26発・長崎19:29着の2863Mではないかと思いますが・・・、断言はできません。

 列車は3分ほどで終点の長崎に到着[⑥]。今日昼頃に九州に上陸したときも、どことなく達成感を覚えたものでしたが、長崎は、出札補充券になるほどの長い経路になってしまった乗車券の終着駅です。ここに来るまでに、本州の中で6泊もしています。それほどの長い時間をかけてようやく辿り着いた「(最寄り駅→長崎の乗車券の)本当の目的地」。緑色の券面にいくつも押された途中下車印は、ここに来るまでの激闘の証でもあります。
















 長崎駅にやってきました。将来的には、長崎新幹線がやってくるとともに、浦上駅と同様、高架化が予定されています。それらのことが行われれば、今私が目にしている長崎駅[②]とは全く違う、大変貌を遂げた長崎駅が姿を現すことでしょう。

 長崎市の夜景は、日本三大夜景にも数えられるほどに綺麗である、と言います。駅前の跨線橋から見た眺めでは、真の美しき夜景を眺めたことにはなりませんが[③] [④]、それでも、長崎に限らず、都会の煌びやかな夜景というのは、見ていて楽しいものです。夜景は遠くから見るのも良いですが、人や車、路面電車の動きがはっきりと分かる近くから見るのも、これはこれで良さがあると思います。

 今日の宿は、煌びやかさに溢れた大通りからはちょっと外れた路地にある、「ビジネス観光ホテルいけだ」です[⑤]。長崎での宿選びは、ある事情により、価格以上に、立地を重視する必要がありました。ビジネス観光ホテルいけだは、価格と立地の均衡がとれていました。

 部屋についてですが、「机と椅子」に相当するものがない代わりに横長のソファーが置かれている、という、一風変わったものでした[⑥]。何かを書いたり、事務作業をしたりするのには、非常に辛いものがありますが、「一晩とことん寛ぐ」というのであれば、このような部屋も悪くはないかも。

 これまで使用してきた「最寄り駅→長崎の乗車券」は、長崎に到着したことにより、ついにお役御免となりました。明日からは、JR九州全線の特急列車が乗り降り自由になるというフリーきっぷ「アラウンド九州きっぷ」を使用します。普通車指定席を6回まで追加料金なしで利用できるという仕様になっており、ホテルに来る前に、切符本券の購入と必要な指定席券の発券を済ませてきました[⑦]


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