キハ40系が去ると、それに隠れてしまって見えなかった、旧駅舎の写真が出てきました[①]。駅、それも「日本最南端の始終着駅」の肩書きを持つ駅としては、こちらの駅舎の方が、遥かにその格に釣り合うだけのものを持っていたと思ってしまいますが・・・。
南から北へ、その距離は3144.5km[③]。経由する路線などが一切書かれておらず、営業キロなのか、それとも実キロなのかも分かりませんが、枕崎〜稚内を鉄道で移動する場合に最も標準的と思われる経路として、指宿枕崎・九州新幹線・山陽新幹線・東海道新幹線・東北新幹線・奥羽・津軽・海峡・江差・函館・室蘭・千歳・函館・宗谷で計算してみたところ、営業キロでは3126.1kmという計算結果が出ました。
室蘭本線経由ではなくずっと函館本線経由(山線経由)、九州新幹線経由ではなく日豊本線経由など、経由する路線を変えながら検証を行ってみましたが、3144.5に一致する数値を出すことはできませんでした。しかし、一度気になったものは徹底的に解明したがる性格をしている者としては、このまま「経由は不明」で引き下がるわけにはいきません。
そのとき、私の頭に、あることが思い浮かびました。3144.5−3126.1=18.4。何とも言えない微妙な数字です。50kmや60kmならともかく、18kmとちょっとという距離を、路線の変更で辻褄を合わせるのはほぼ不可能と言えます。一方、上記の「最も標準的と思われる経路」では、普通に新幹線や特急列車を使っていった場合、「接続駅を通過する」という事由により、五稜郭〜函館と白石〜札幌で重複乗車が発生することが考えられます。
まさか・・・。五稜郭〜函館間は3.4km、白石〜札幌間は5.8km。3.4×2=6.8、5.8×2=11.6。6.8+11.6=18.4。ああ、まさかこんな理由と結末が待っていようとは。この18.4という数値は、ちょうど不足していた18.4kmと一致するではありませんか!
謎が解けました。枕崎駅前にある看板が言う「枕崎〜稚内は3144.5km」というのは、上記の「最も標準的と思われる経路(営業キロ)」で移動し、かつ路線が接続する駅を通過する特急列車に乗車したことを理由として、五稜郭〜函館・白石〜札幌を重複乗車した場合の距離なんですね。
新幹線と在来線では実キロが違うこと、その他運賃計算上の特例などを考慮した上で、「2015年9月現在、枕崎〜稚内間3144.5kmを営業キロではなく実キロで移動する場合」の経路を正確にはじき出した(たぶん)結果、それは以下のようになりました(<>内は接続駅)。
<枕崎>指宿枕崎<鹿児島中央>鹿児島<川内>九州新幹線<新八代>鹿児島<門司>山陽<櫛ヶ浜>岩徳<岩国>山陽<神戸>東海道<東京>東北(上野まで山手)<盛岡>東北新幹線<新青森>奥羽<青森>津軽<中小国>海峡<木古内>江差<五稜郭>函館(大沼公園経由)<長万部>室蘭<沼ノ端>千歳<白石>函館<旭川>宗谷<稚内>、ただし特急などに乗って五稜郭〜函館・白石〜札幌を重複乗車。
3144.5kmの全貌を暴いたのは、インターネット上に数多のサイトがあるといえども、恐らく、当サイトが初めてと思います。この検証結果は、北海道新幹線の新函館北斗開業のときまで有効です。枕崎〜稚内間3144.5kmを「営業キロではなく実キロ(本当の線路の距離)」で移動してみたい、という方は、このような経路での移動を行ってください。もし、この検証結果が違っていれば・・・、申し訳ありません。
それにしても・・・、3144.5kmの中に重複乗車の分を含めるのって、いったいどうなんでしょう。「枕崎から稚内までは、鉄路でこれくらいの距離がある」と言うときには、ちょっと不適切な気がしないでもありませんが・・・。
本当はそれぞれの写真についての解説を更に行っていきたいところなんですが、尺の都合上、ホテルまで飛びます。今日泊まるのは、駅前のすぐそこにある枕崎ステーションホテルです[⑬]。2010年?の開業で、部屋もまずまず綺麗です[⑭]。
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