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 お昼時で、かつ次の列車まで少々待ち時間があるということで、ここ酒田で昼食を摂ろうということは、既に決めてありました。腹を満たせるのであれば、もう何でもいいよ・・・ということで、駅舎内にあるニューデイズに向かうと・・・、おや[①]。「酒田クラスでも閉店?」と思ったら・・・、この時間帯は休んでいるとのこと[②]。でも、昼食の時間帯に休むコンビニって。。。

 山形県を代表する3つのブランド米、つや姫・雪若丸・はえぬき[③]。つや姫とはえぬきは知っていますが、雪若丸というのは初耳ですね。近頃は、産地や銘柄に応じて、その炊き方を調整するという炊飯器があるようですが、単純な技術としては「凄い」と思いつつも、例えば「マイナスイオンが出るテレビ」のように、無駄に高機能化を進めただけのものに感じられるような気も。

 駅前は、大きなビジネスホテルの存在が目立ちますが、それほど賑わっているわけではありません[⑥]。本当の中心市街地は、駅からちょっと離れたところにあり、酒田駅は、その外れにあります。駅舎は2階建てで、主要駅らしい規模を持ち合わせていますが、これが「酒田市の玄関口で、大きく近代的な駅舎を有している」との理由から、2002年に、東北の駅百選に選出されました[⑦]

 駅前でにらみを利かせている、2つの獅子[⑧]。酒田の獅子舞は、現在では、同市の無形文化財にも指定されているほどで、重要な文化です。獅子ならば、やはり頭を噛んでもらわねば・・・と思うのですが、その口は閉じてしまっています。噛まれたいのに!

 現在はやや閑散としている酒田駅前ですが、再開発事業が進められているところであり、それが完成した暁には、図書館やホテル、マンション等から成る複合施設が生まれるとのこと[⑨]。先ほど少し触れたように、酒田駅は、市街地から少し離れたところに位置しているので、駅周辺にも吸引力と賑わいを持たせたい、という思惑があることは、この計画からも分かります。

 酒田駅で営業している土産物屋、「清川屋」では、ががちゃおこわなる弁当が販売されています[⑩]。これにりんごジュース、いかつくね、味噌汁を加えて、今日の昼食としました[⑪]。時刻表においては、このががちゃおこわは、駅弁として扱われてはいないのですが、清川屋の店頭では、「酒田名物駅弁」と銘打たれています。

 腹ごしらえも済んだので、次の列車に乗りましょう。酒田14:00発の陸羽西線直通・快速最上川号です[⑫]












 快速最上川号は、キハ110系2両編成で運転されます[①]。1日1往復しか運転されないため、意図的に乗ろうとしない限りは、なかなか巡り合えない列車でもあると思うのですが、今回は、運良くこれへの乗車機会に恵まれました。

 酒田発車後、キハ40系と遭遇[②]。キハ40系は、JR東海がいち早く全廃を達成(2016年3月のダイヤ改正)したものの、それ以外の旅客鉄道会社各線では、まだまだ健在でした。しかし、JR東日本においては、その後継となるEV-E301系、EV-E801系、GV-E400系といった新しい車両の導入が進められていて、2019年度中には、羽越本線からキハ40系が引退する見込みです。

 列車は雪原へと駆け出しました[③]。今回は、羽越本線での移動は酒田で打ち止めとなりましたが、羽越本線においては、海沿いの区間が絶景であるのは言うまでもありませんが、内陸部に入っても、今度は月山や鳥海山をはじめとする、美しい山々の風景に恵まれます。そういう意味では、海側の席になっても、山側の席になっても、決して外れではないと言えるでしょう。

 最上川を渡ります[④]。今はこれを”渡り”ましたが、陸羽西線に「奥の細道最上川ライン」という愛称がついているように、この後余目から陸羽西線に入ると、今度は最上川に並走する車窓に出会えるようになります。

 田園地帯にポツンと置かれた駅、北余目を通過します[⑤]。新庄行きの快速最上川号の停車駅は、まずまず絞り込まれていて、途中、余目・狩川・古口にのみ停車します。新庄までの所要時間は52分で、他の列車(酒田〜新庄)が1時間5分〜1時間20分ほどかかっていることを踏まえると、一定の速達性を持っていると言うことができます。

 余目を過ぎて、陸羽西線に乗り入れました[⑥]。犬や狐の足跡すらもない、どこまでも綺麗でフラットな純白の雪原は、”美しい”というありきたりな一言に集約するのが惜しいくらいに素晴らしいものがあります。線路上に隙間なく敷き詰められた雪は、列車の走行音を吸収し、雪国の列車ならではの音や乗り心地をもたらします。

 南野を通過[⑦]。2019年3月のダイヤ改正によって、酒田行きの最上川号は、陸羽西線内は各駅停車となるように改められたので、同線での快速運転は、新庄行きでのみ体験することができます。



















 清川を通過しますが・・・、えげつないほどの雪の量ですね、これは[①]。山形県の内陸部に位置する新庄市は、日本でも有数の豪雪地帯ですが、海沿いの酒田市を離れ、内陸部の新庄市に向かっているということもあって、酒田を出たときと比べると、窓越しに見える雪の積もり方は、間違いなく激変しています。これこそまさに”豪雪”です。

 清川通過後、列車は立谷沢川を渡ります[②]。この川は、清川駅の近くで最上川に注いでいる、最上川の支流です。陸羽西線内で見られる川は、なんでもかんでも最上川・・・というわけではありません。支流とは言ったものの、その水質は非常に素晴らしいものがあり、「東北一きれいな川」に選出された実績もあります。

 さて、乗客一同お待ちかねの、最上川との並走が始まりました[④]。もちろん、私は、この眺めを大いに楽しみにしていて、最上川号に乗車するにあたっては、「陸羽西線内で最上川側となるクロスシート、かつ進行方向向き」の確保にこだわりました。例え夏場であっても、ここは絶景なのでしょうが、銀世界に仕立て上げられた冬は、川面の緑と雪の白が対比を成し、まさしく素晴らしい眺めとなります[⑤]

 積もりに積もった雪は、時として、窓一面を覆うほどの高さにもなります[⑥]。この冬は、例年よりも一段と雪が多いときではありましたが、陸羽西線は、毎年雪との戦いを繰り広げる路線でもあり、場合によっては、その豪雪のために運休することもあります。

 くねる最上川と、それに沿って進路をとる陸羽西線[⑦]。こういった絶景に恵まれてはいるものの、羽越本線を含めた酒田〜新庄間であっても55.2kmにしかならないという路線距離のせいもあるのか、陸羽西線には、観光列車の類は走っていません。ひとつ真面目に検討するならば、気動車のHB-E300系を使用した海里号が登場するということで、それを乗り入れさせてはどうでしょうか。

 古口に到着しました[⑧]。かつては、陸羽西線の途中駅全8駅のうち、6駅に行き違い設備がありましたが、年々輸送量が減少しているということもあってか、現在は、古口駅にあるそれを除き、他の途中駅は、全て1面1線となりました。そういうわけで、ここで酒田行きの列車と列車交換を行いますが・・・、向こうの列車の姿が、ほとんど見えません・・・。

 ご覧ください、この雪の積もり方を[⑨]。人間の背丈を軽く凌駕する高さがあり、恐らく駅名標が設置されているのであろうところは、その枠が僅かに覗く程度となっています。列車への乗り降りが支障なくできるよう、ホーム上は、ある程度の除雪は行われていて、そこは雪が全くないので、より一層、その高さが際立ちます。

 まもなく終点の新庄です[⑪]。道路であれば、その道筋が消えてしまうであろうところを、鉄道であれば、大雪に見舞われていようとも、2条の線路が列車を導いてくれます。地面を埋め尽くした雪に浮かび上がる銀色の線路は、このようなとき、非常に頼もしく思われます。

 そして列車は終点の新庄に着きました[⑫]。隣に停車している701系は、前面に雪を蓄えていて、今日の行路における雪との格闘を想像できます。新庄駅は、古口駅などにこそ及ばないものの、豪雪地帯として知られる新庄市の中心駅ということもあって、その雪の多さには、決して疑う余地はなく、ホームには雪がうず高く積もっていました[⑬]


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