◆2月24日◆
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 ついに旅の最終日です。2月7日から始まったこの旅も、気が付けば、2月24日になっていました。今日は18日目ですね。そして、この旅日記も、大台の3桁目に突入して、113ページ目に達しています。もちろん、これは、過去のどの旅日記よりも多い枚数であり、制作にかかった期間も、それはもう半端なものではありませんでした。当然、費やした労力も・・・です(笑)

 5:20現在の長万部町の気温は、氷点下12.8度でした[①]。氷点下2桁台というのは、本州では、なかなか遭遇できるものではありません。−10度を大きく割り込むような寒さになっているということもあってか、道端の排水溝からは、湯気が立ち昇っていました[②]

 2両編成のキハ150形が動いています[③]。この後は、函館本線の山線・6:00発の小樽行きに乗車しますが、時刻はまだ5:43なので、これではありません[④]。まだ寝静まっている町、肌に突き刺さるような冷たい空気には、気動車のエンジン音が大きく響きます。

 キハ150形が通り過ぎて行った脇に、除雪車が停車していました[⑤]。深夜のうちに、どこかの路線の除雪を行ってきて、長万部に辿り着いたのでしょうか。それとも、これから生まれるであろう運用に備えて、ここに待機しに来たのでしょうか。ディーゼル機関車の両端にラッセルヘッドが付いたその姿は、まさに重厚感満点です。

 長万部駅に辿り着きました[⑦]。まだ夜も空けぬ駅に、他の利用客の姿は見当たりません。この駅の一番列車は、5:38発の苫小牧行きであり、初発の列車はそれなりに早いと言えます。



















 6:00発の小樽行きは、キハ150形2両編成による運転でした[①]。先ほど見かけた、入れ替えをしていた車両ですね。長万部から札幌に向かうにあたっては、2つの選択肢があり、ひとつは函館本線の山線を経由する方法で、もうひとつは、室蘭本線を経由する方法です。後者は、特急スーパー北斗号が使えますから、よほどの変人でない限りは、まず後者を選びます(つまり、私は変人!)。

 2両編成のうち、一方はこのように無人でした[③]。もう一方は、中国人っぽい女性が1人乗っていましたが、いずれにしろ、ガラガラもガラガラです。1両編成でも十分なのでは・・・と早とちりしそうになりますが、この先には、黒松内、ニセコ、倶知安、余市といった主要な駅も控えていますから、そういったところを通るうちに、ある程度の乗客は乗ってくるのかもしれません。

 長万部を発車[④]。少しずつ夜が明けてきましたね。今のところは、青空も見えていますが、この先の天候は分かりません。私は、雪国の人間ではありませんが、経験上、雪国の天気というのは非常に変わりやすく、あるときに晴れていたとしても、その後数分が経過したら雪になっていた・・・ということも、決して珍しいことではないと思っています。

 二股に到着[⑤]。ご覧の通りの雪の量です。函館本線の”山線”と称されるように、この経路は、まさに山間部を通っているため、積雪はとても多いです。その一方で、室蘭本線は”海線”と呼ばれ、内浦湾に面した海沿いの地帯を通るために雪の量が少なく、とりわけ伊達市(伊達紋別)は、寒さも雪も穏やかで、「北の湘南」と言われることもあります。

 「北海道らしい」や「北海道らしさ」をどこに感じるかというのは、人それぞれだと思います。寒さや雪の量にそれを見出す人もいれば、広大な平原にそれを実感する人もいるはず。うまく言葉にすることはできないけれども、「あ、これは北海道だよな」と思わせるものは、ここには数多くあります。きっと、この車窓もそうでしょう[⑦]。これという特徴はないのに、なぜか「いかにも北海道!」と思ってしまいます。

 黒松内に停車[⑧]。今では、山線の小さな駅のひとつとなりましたが、かつては有人駅で、また特急北海号・急行ニセコ号といった優等列車も停車していました。現在、函館本線の山線において、臨時特急としてニセコ号(ヌプリ号・ワッカ号)が運転されることがありますが、その際は、ここ黒松内にも停車し、かつての姿を再現しています。

 黒松内の次は熱郛です[⑨]。このまま順調に雪が降り積もっていけば、駅名標は雪の中に埋もれてしまうことでしょう、もちろん、そうならないように、ここだけでも除雪はするのでしょうが、その雪の多さが分かります。

 太陽が出てきました[⑩]。列車が小樽に向かって少しずつ歩んでいくのに合わせるかのように、太陽もまた、少しずつその姿を高いところに上らせてきました。大海原の水平線から見えてくる太陽も良いですが、山の稜線から出てくる太陽も、趣を有しています。

 蘭越に到着[⑪] [⑫]。上り列車との行き違いを行うため、ここで少々停車します。暖房の効いた車内からホームに降り立ってみると、やはりその温度差は大きく、身体に刺激が走ります。先ほどの熱郛駅で触れた「雪に埋もれる駅名標」は、ここ蘭越では実現しかかっていて、ひとつ手前の駅である「目名(めな)」の文字が見えません・・・[⑬]



















 尻別川を横目に見ながら走ります[①]。寒さが足りないからなのか、流れが速いからなのか、結氷はしていません。北海道では、宗谷本線沿いに流れている天塩川など、冬期には凍ってしまう川もあります。

 ニセコに到着しました[②]。カタカナ表記の「ニセコ」が正式な駅名なので、読み仮名もまた「ニセコ」です。上に大きく、”ニセコ”、下に小さく”ニセコ”。「にせこ」という表記はしないようですね。北海道の駅に特有の縦長の駅名標も、漢字の駅では、読み仮名=ひらがなが使われますが、ここでは「ニセコ」とカタカナが使われています。

 再び尻別川[③]。この辺りは、流域が少々狭いようで、川幅が短くなっています。また、先ほど見かけたときとは異なり、一部が凍結していました。これによってか、川は”流れている”という感じはなく、凍結した部分に挟まれた各箇所が、流れがせき止められたことに伴い、それぞれ小さな池のようになっていて、川面には波が立っていませんでした。

 横殴りの雪が降ってきました[④]。あるときには晴れていても、気が付いたら大雪になっている。雪国では、それほど珍しいことではありません。場合によっては、明らかに太陽が出ているのに、実際には吹雪に見舞われている、ということも起きます。

 倶知安に着きました[⑤]。左側が私が乗車している小樽行きで、右側がここで行き違いをする蘭越行きです。列車交換を行いますが、こちらの小樽行きは、停車時間が少々長めに取られていて、7:48着・8:02発となっています。相手は7:44着・7:50発なので、こちらが倶知安に着いたら、長居はせずに発車していきますが、小樽行きは、ここでしばしの小休止です。

 蘭越行きの普通列車が、大雪の倶知安を発ちます[⑦]。キハ40系とキハ150形は混結が可能であり、この列車は、両形式を連結していました。拡幅車体のキハ40系に対して、キハ150形はストレート車体なので、異なる車体形状の車両が連結している姿を見られますが、車体の幅は、実は後者の方が広くなっています(2900mm:2925mm)。

 長万部では晴れていたのに、倶知安ではどうしてこうなったものか[⑧]。まさしく大雪で、大粒の雪が次々と舞い降りてきます。既にこれほどの雪が積もっている中でも、函館本線は何事もなく走っているわけですから、この程度の降雪が運転に支障をきたすことはないはずですが、それでも多少は心配になります。

 雪の向こうに”何か”があります。そして、その何かの上に、雪がこんもりと積み上がっています[⑨]。はて、あれは何やら、と思っていたら、ホームに一服しに来ていた人が、「あれは転車台だ」と教えてくれました。

 黒松内に住んでいるというその人は、以前は黒松内から列車を利用していたのが、2016年3月のダイヤ改正で長万部発着の普通列車が減便されたため、今は蘭越まで車を走らせているとのことでした(が、蘭越まで1時間かかる)。また、「さすがに北海道の雪は質が良いですね」と言ってみたら、「2月の時点でここまで雪が重いのは珍しい」とのこと。しばしの雑談が続きました。

 新幹線の駅は、現在の駅舎があるあたりに高架で建設される予定らしいので、そうなると、長万部駅と同じく、新幹線の駅舎と引き換えに、今ある駅舎は解体されるものと思われます[⑪]。長万部も倶知安も、当初は地上に敷設する予定が、市街地の分断を避けるために高架に変更された・・・とのことですが、よほど建設費を節約しようとしていたのでしょうか。

 発車時刻表[⑬]。優等列車の発着はなく、全ての列車が普通列車です。倶知安〜小樽間は、ある程度の列車本数がありますが、それでも、毎時1本必ずあるとはいきません。長万部方面は、1日7本であり、うち2本は蘭越止まりとなっています。

 下車駅の銀山に着きました[⑭]。そのまま小樽まで通すのはつまらないと思ったので、ここで寄り道です。


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