Page:51

※各画像はクリックすると拡大します。



















 南風20号に乗車し、阿波池田を目指します[①]。列車は3両編成とだいぶ短いですが、1号車の半室はグリーン車となっています。まあ、まともな利用は当て込んでおらず、半ばフルムーンパス利用者のために用意しているという感もありますが。

 グリーン車車内[②]。この写真は、座席に座っているときの私の視界にほぼ等しいわけですが、たしかに座席そのものは大きいです(背もたれの高さが分かるかと思います)。が、空間そのものにグリーン車らしさがあるかと言われると、それはかなり疑問符がつきます。間接照明になっているとか、絨毯が敷かれているとかいうわけでもありませんしね。

 太田口を通過します[④]。駅の前後は曲線がきつく、あまりスピードを出して通過することはできません。このあたりがいかに険しい地帯であるのかということは、吉野川の形がよく示してくれています[⑤]。JR四国は、空気ばねによる車体傾斜を採用した2600系で2000系を置き換える算段でしたが、土讃線の劣悪な線形の前に「空気容量が足りない」として敗北、結局振り子式の2700系を造ることになりました。

 豊永駅の手前で現れる、謎の橋脚[⑥]。橋脚そのものは存在していますが、肝心の橋桁がありません。これは、かつての長瀞橋(1935年竣工)の残骸で、1963年に新しい橋(写真左側の青いもの)が架けられたことで、その使命を終えました。その幅員は狭く、車は1台が通行できるくらいの幅しかなかったようです(現在の橋も、もちろんすれ違いはできますが、決して余裕がある広さとは言えません)。

 豊永で下りの特急南風号と行き違います[⑦]。進行方向左側の座席に座った状態でこのような写真が撮られたことからも分かるように、上り列車たるこちらが右側の線路を使い、下り列車たる対向列車が左側の線路を使っています。これは、南風20号が通過している側が一線スルー化されているためで、後からやってくる通過列車をより速く走らせるための措置です。

 大歩危に到着しました[⑧]。現在は全ての特急列車が停車しています。昨日は、「愛媛でこれほどの雪が降るのか」と驚いたものでしたが、この祖谷のあたりも、いくらかの残雪が見られました[⑨]。見ての通りの山あいであり、路面凍結はもちろんのこと、冬季に雪が降ることは、それほど珍しいことではないそうです。

 四万十川に勝るとも劣らないような、とても神秘的な色合いを湛える吉野川[⑩]。しかし、今朝見てきた四万十川とは異なり、ここ吉野川は、川の両側が「岩場」と言っても良いほどの地形をしており、より一層険しい雰囲気が出ています[⑪]。吉野川は、その綺麗さでは「清流」と言えますが、地形の厳しさにおいては、まさに激流です。

 これほどにも厳しい地形を克服するのは、一筋縄ではいきません。川を渡るためには橋を架け、建物は切り立つところの寸前にまで迫り、鉄骨で作った足場に基礎を預けている建築物もあります[⑫]。現代技術でも、このようなところを開発するのは、結構な苦労が伴いそうですが、今よりも遥かに技術が未熟だったころに、よく鉄道を通せたものだなと思ってしまいます。

 土佐山田から1時間とかからずに阿波池田に着きました[⑭]。この区間は、キハ181系の頃は、1時間10分くらいはかかっていたようです。

















 阿波池田駅に到着しました[①] [②]。都心の駅というわけでもないのにやたらとホームの幅が狭い1番線が印象的な駅です。また、ホームの構造も印象的であり、阿波池田は3面5線を擁する駅となっていますが、これは松山(2面3線)、高知(2面4線)、徳島(2面4線)を超える規模であることを示しています(JR四国の駅としては、高松駅に次ぐ規模)。

 駅を出ると、すぐ正面に商店街があります[④]。が、残念ながら、わざわざ中に入っていかなくても分かる、典型的な「寂れた商店街」です。だいいち、歩いている人の数が・・・。これは昼間だからまだマシですが、夜に訪れるとそこそこ不気味です(経験談)。

 土讃線を走る観光列車、四国まんなか千年ものがたり号。阿波池田駅でも宣伝されていますが、実は、この列車は、上下とも阿波池田には停車しません[⑤]。上り便に乗るならば、ここに書いてある通り大歩危駅に、下り便に乗るならば、始発の多度津、善通寺、琴平のいずれかまで行かなければなりません。ちょっと面倒ですね。

 さすがに積もっているとか、残雪があるとかいうほどではありませんが、地面に目をやると、ところどころ雪が残っていました[⑥]。しかし、今日の天気はというと・・・、雨です。「四国で雪景色」となれば、それは旅人としては歓迎したい(単純に”楽しい”から)ものですが、雨が降っていて嬉しいことなどありません。もうちょっと寒ければ良かったのでしょうか。

 土讃線高松・岡山方面、高知方面の横に並んでいる発車標は[⑧]、徳島線の発車標です[⑨]。四国に4つある都道府県として最後に残された徳島県(駅)を制覇するために、特急剣山10号に乗って徳島を目指します。

 今日の特急剣山10号は、2両編成で運転されます。号車番号札を見ると、1号車と3号車となっていますが、これは指定日の土曜・休日に、この編成を用いる剣山の2号車に「ゆうゆうアンパンマンカー」が連結されることがあるためです[⑪]。3号車は自由席ですが、もし、ゆうゆう〜の連結日に律儀に2号車にしていたら、日によって自由席が2号車になったり3号車になったりして、ややこしくなります。

 徳島行きの方向幕[⑫]。剣山という列車は、歴史としてはまだまだ浅く、1996年の徳島線高速化工事の完成を機に誕生した列車で、まだ20年ちょっとしか走っていません。JR化後に誕生した特急列車ですが、方向幕は完全に国鉄フォントによって作られていて、国鉄時代からの特急列車であると言われても信じてしまいます。
















 先頭車+先頭車の2両編成という実に短い特急列車、剣山号[①]。編成こそおよそ”特別急行”とは思えないものですが、その代わり、徳島線というローカル線でありながら、特急剣山号は1日6.5往復が運転されていて、一定の運転頻度を確保しています。

 剣山号にはグリーン車の設定はないので、普通車指定席で我慢します[②]。この短い編成に指定席を丸々1両設けるということはせず、1号車を「一部指定席」として、「指定席」と書かれた青い座席カバーがかけられた一部の席のみが指定席として運用されています。

 阿波池田を発車し、隣の駅、佃を通過します[③]。徳島線は、佃〜佐古間を結ぶ路線であり、正式には、ここ佃で土讃線と接続しています。もっとも、佃を始終着とする列車はなく、全ての列車が阿波池田まで乗り入れています。これは佐古側も同様であり、全て徳島を始終着としています。佃を通過したら、土讃線を分かれ、徳島線を進んでいきます[④]

 進行方向左側に吉野川が現れました[⑤]。吉野川は、徳島県を東西に貫く大河ですが、徳島線もまた、県内を東西に結ぶ路線であるため、場所によっては車窓に吉野川を見ることができます。”場所によっては”という言い方の通り、三江線(江の川)や予土線(四万十川)ほどには、川につきっきりではないので、この川を車窓に見ることができる区間は、実はそれほど長くはないです。

 吉野川と並行する徳島線ですが、その全区間において、本路線の線路は、吉野川を跨ぐことはありません[⑦]。吉野川に注ぐ支流にかかる橋梁はありますが、吉野川そのものにかかる橋は、1本たりとも存在しません。川は常に線路の北側にあり、佃から佐古に至るまで、交わることはないのです。なお、吉野川を見られるのはD席側です。

 鴨島に到着[⑧]。そろそろ薄暗くなってきました。県庁所在地たる徳島へ向かう列車ということで、途中駅での”降り”は見られませんでしたが、逆に”乗り”は、少人数ながらも、各駅で散見されました。ここ鴨島でも、数人の乗車がありました。剣山号は、急行列車並みにこまめに停車しますが、その意味はあるようです(一応、10号は、全6.5往復の中でも、一番停車駅が少ない便です)。

 前面展望ができる席が空いたので、ちょっとそちらに移動してみました[⑨]。「パノラマ車両」でもなんでもありませんが、前側の景色は、見えることには見えます。石井〜蔵本間にかけては、線路はほぼずっと直線となるため、前方にある駅や、そこでこちらの到着を待っている列車が見えることもあります(蔵本で1500形の普通列車が待っていました)[⑩]

 阿波池田から1時間10分とかからずに徳島に着きました[⑪]。途中の停車駅が最も少ない10号らしい俊足ぶりでした(が、その後、2018年3月のダイヤ改正でなぜか所要時間が延び、1時間9分→1時間13分となって、10号よりも停車駅が多い便より遅くなりました)。


TOP                    10  11  12  13  14  15  16  17  18  19
20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  31  32  33  34
35  36  37  38  39  40  41  42  43  44  45  46  47  48  49  50
51  52  53  54  55  56  57  58  59  60  61  62  63  64  65
66  67  68  69  70  71  72  73  74  75  76  77  78  79  80  81
82  83  84  85  86  87  88  89  90  91  92  93  94  95  96
97  98  99  100  101  102  103  104  105  106  107  108  109
110  111  112  113  114  115  116


DISCOVER どこかのトップへ

66.7‰のトップへ