Page:11

※各画像はクリックすると拡大します。










 普通列車で佐土原まで移動します。乗車する高鍋行きの普通列車に充当されていたのは、713系でした[①]。国鉄時代に2両×4本が製造されたのみという少数派で、現在はその全編成が宮崎を拠点に活躍しており、実質的に宮崎地区でしか乗れない車両です。

 宮崎駅の前後の区間は高架となっているため、駅を出てからしばらくの間は、大方の建物を見下ろすような具合で走ります[②]。しかし、ひとつ手前の南宮崎駅も、ひとつ先の宮崎神宮駅も、どちらも地上駅となっているため、高架”駅”となっているのは、宮崎駅のみです。ただ、忘れてはならないのが宮崎空港駅。ここも高架なので、宮崎駅は、県内唯一の高架駅というわけではありません。

 石崎川を渡ると、列車はまもなく佐土原に到着します[③]。この列車は2つ先の高鍋止まりですが、一部には佐土原始終着という列車も設定されています。現在、1日に5往復の佐土原始終着の列車がありますが、このうちの3往復は、土曜・休日は運休(列車自体が走らないか、運転区間短縮により佐土原まで来ない)となっていて、平日の通勤・通学輸送のために運転されていることがよく分かります。

 宮崎から15分で佐土原に到着しました[④]。登場当初は、白地(クリーム)に色帯という、ごくごく普通の塗装を纏っていた713系ですが、1996年の宮崎空港線の開業を機に長崎から宮崎へ移り、それと同時に、今の派手な塗装になりました。貫通扉には、太陽の国・宮崎ということで、太陽の絵が描かれていますが、これがアルゼンチンの国旗ばりに「ビミョーにリアル」なもので、かわいらしさはいま一つ・・・。



















 佐土原駅にやってきました。宮崎県に位置する駅らしく、両隣の駅は共に「日向」を冠しています[①]。駅構内には大量のコンテナが積み上げられていて、貨物駅でもあるように思われてしまいますが、実際に有している機能は、貨物列車を代替するトラック便のみが発着する「オフレールステーション」です[③]。ゆえに貨物”列車”の発着はありません。

 1番線には佐土原始発の普通列車が停車していました[④]。この列車は日豊本線の田野行きで、即ち全区間で架線下を走りますが、キハ40系2両による運転となっています。1番線は行き止まりの構造となっていて、佐土原発着の区間列車のうち、気動車で走るものについては、全て1番線で発着します[⑤]

 佐土原駅は、自動改札機は設置されていませんが(むしろ宮崎駅が県内で唯一の自動改札機設置駅)、SUGOCAの簡易読み取り装置が設置されています[⑥]。SUGOCAの宮崎エリアの北端となる駅で、これより先の延岡方面では、SUGOCAをはじめとするICカードの利用はできません。列車の運行上のみならず、そのような点においても、佐土原駅は主要な駅です。

 「あの町、この町、笑顔でつなぐJR JR日豊本線宮崎地区利用促進連絡協議会」と題した看板が駅舎上部に掲げられていて、そこには県内の主要な駅と、名所や名産品が記されています[⑧]。掲載される駅に選ばれたのは、佐土原、宮崎、南宮崎、清武、田野で、これらはいずれも特急列車が停車するという共通点を持っています(ただし田野は1日1往復だけ)。

 駅から徒歩30秒とかからないような位置にビジネスホテルがあります[⑩]。その名はホテルAZ。九州を中心に展開するビジネスホテルチェーンで、九州島外にも進出していますが、ほとんどの店舗は九州内で経営されています。佐土原、都農、喜入、姶良など、超大手であればとても進出しそうにはないようなところにも店舗を構えるのは、地域密着型の経営スタイルの賜物と言えましょう。

 駅前にある学習塾には、地域の中学生たちが目指すべき宮崎の進学校(たぶん)の名が列挙されています[⑪]。その上には、大学の名も挙げられていますが、左から東京大、京都大、大阪大、名古屋大、九州大・・・と、なぜか九州大学が国立大学の中では一番最後にされてしまっています。福岡ならともかく、宮崎辺りまで来ると、必ずしも「地元の九大こそが最高」とはならないということなのか。

 駅舎の目の前に設置されているバス停。これがちょっと面白いもので、停留所標の一方は「佐土原駅 」[⑫]、その裏側は「佐土原駅」となっていて[⑬]、同じ名称でありながら、表記の仕方に微妙な違いがあります。前者は、いかにも何か一文字を削除したように思われるのですが・・・、以前は「佐土原駅前」という名前にでもなっていたのでしょうか。

 次の列車、にちりんシーガイア24号に乗車するために、4号車の乗車位置のところで列車を待ちます[⑭]。印字された文字はすっかり消え薄れていて、よく目を凝らさないと「特急にちりんシーガイア」の文字は視認できませんが、よくよく見てみると、その下には、今や懐かしき「特急ドリームにちりん」の表記も・・・。


















 にちりんシーガイア24号に乗車します[①]。佐土原〜延岡間の約1時間の乗車ですが、この列車自体は、宮崎空港発博多行きという、実にロングランな運転区間となっていて、始発から終点までの所要時間は6時間を超えます。

 「別に自由席でもいいかな」というような乗車区間と時間でしたが、結局、普通車指定席を選択しました。いざ乗ってみると、指定席の乗車率はかなり低く、車内は空席が目立っていました[②]。しかし、「えきねっと」を愛用する私にとっては、こういった”必ずしも必要ではない”指定席への乗車も、えきねっとポイントが稼げるということで、それなりに意味はあります。

 日豊本線といえば海が見える区間が多い、ということで、今回は、海側となるA席を指定しました[③]。もっとも、今日の天気はイマイチであり、また、いかに陽の長い九州といっても、2月では日没の時刻も早く、海沿いを走るころには、既に日没時刻を過ぎています。というか、そもそも、日向灘は「向かって東側」なので、「夕方に日向灘が見える席を選ぶ」意味はほとんどないわけで・・・。

 18:00に都農に到着します[④]。一部の特急列車も停車する駅です。にちりんシーガイア24号の停車駅でもありますが、下り列車との行き違いを行うということで、列車はここで4分停車します[⑤]。この4分間、私はホームで”息抜き”をしていましたが、にちりんシーガイア24号から乗降する人の姿は確認できませんでした。暗がりに包まれる駅に車側灯が映えます[⑥]

 宮崎空港17:19発、博多23:27着[⑦]。大阪しなの(大阪〜長野:441.2km)亡き今、にちりんシーガイア(博多〜宮崎空港:413.1km)が、在来線昼行特急の最長走行距離の保持者です。これだけの走行距離と所要時間があるとなると、かつての787系つばめ号にあった「ビュッフェ」が連結されていれば・・・と思わずにはいられません。少なくとも私は喜んで利用します。

 下りの特急にちりん17号が通過していきました[⑧]。こちらは営業停車ですが、向こうは都農は通過駅です。都農は延岡と宮崎のほぼ中間点(どちらからも約40kmの距離)に位置していますが、やはり県都である宮崎との結びつきが強いということなのか、都農に停車する特急列車は、下り(宮崎方面)は全て朝に集約され、上り(延岡方面)は夕方以降に集約されています。

 都農を出てしばらくすると、海側に単線・非電化の高架橋が現れます[⑨]以前にも当サイトの旅日記で触れたことがありますが、これはかつての宮崎リニア実験線の遺構で、現在は、この高架橋の上にソーラーパネルを設置して太陽光発電事業などが行われています。なお、この実験線は、普通の地図には表示されませんが、Google Earthではなぜか鉄道路線扱いであり、線路を示す黒線が表示されます。

 門川でにちりん19号と列車交換[⑪]。私が乗車している2号車の横には、グリーン車の1号車が停まっていましたが、にちりん19号のグリーン車は、ご覧のようにガラガラでした。787系は、グリーン車のみならず、普通車についても、荷物棚は、写真のようなハットラック式となっていますが、いざ使ってみると、「スーツケースが入らない」という点で、絶望的に不便であることに気づかされます。

 下車駅の延岡に到着しました[⑫]。今日の宿はここに構えているので、私もにちりんシーガイア24号をここで降ります。この列車の終点の博多到着は23:27で、ここからまだ5時間弱ほどの長い道のりが残されています[⑬]


TOP                    10  11  12  13  14  15  16  17  18  19
20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  31  32  33  34
35  36  37  38  39  40  41  42  43  44  45  46  47  48  49  50
51  52  53  54  55  56  57  58  59  60  61  62  63  64  65
66  67  68  69  70  71  72  73  74  75  76  77  78  79  80  81
82  83  84  85  86  87  88  89  90  91  92  93  94  95  96
97  98  99  100  101  102  103  104  105  106  107  108  109
110  111  112  113  114  115  116


DISCOVER どこかのトップへ

66.7‰のトップへ