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※各画像はクリックすると拡大します。



















 伐採されたのか、あるいは山火事でもあったのか、山の斜面に生えている樹木の一部分が、大きくえぐり取られています[①]。焼け焦げた形跡がないので、まあ恐らく木材として伐採されたというところでしょうけれども、やはりそこだけ異様に目立ちます。

 紀伊長島のひとつ手前、三野瀬を通過します[②]。そして停車駅の紀伊長島を出ると、ほどなくして、南紀号への乗車における最後の海景色と遭遇します[③]。ここから先は、針路を北に取り、山間部を走っていくようになるため、海が見られることはなくなります。

 ところが、ここまで天気に恵まれてきたのが、なんだか雲行きが怪しくなってきました。雲が増えるだけならともかく、いつの間にか、窓には雨粒が付着していました[④]。そして停車駅の三瀬谷に着くころには、青空は消え失せ、本降りの雨となりました[⑤]。しかし、一方で、参宮線と合流する多気に到着するときには、天気は回復していました[⑦]。山の天気は変わりやすい、ということでしょうか。

 14:47に多気に到着[⑧]。衛星写真等で確認すると分かりやすいですが、この駅は、特急停車駅でこそあるものの、駅周辺はほとんど発展していません。多気町の中心地は、むしろ隣の相可駅の辺りに形成されています。多気は紀勢本線と参宮線との接続駅である、という、鉄道駅としての拠点性を意識しての停車であると言えます(相可は、特急南紀号は全て通過)。

 更に紀勢本線を進んでいくと、車窓に複線電化の路線が現れました。それも、標準軌[⑨]。これは松阪駅の手前で合流する近鉄線の線路で、単線非電化のJR線(紀勢本線)とは実に対照的な、豪華な造りです。その松阪では、キハ11形の姿が見えましたが、これは名松線でしょうか[⑩]。2016年3月に全線での運転を再開し、今はまた伊勢奥津まで辿り着けるようになりました。

 今回は普通車に乗車しているわけですが、普通車であっても十分に快適なのが、このキハ85系です。座席配置の間隔は、普通車としては異例の1000mmで、足置きも装着されています[⑪]。また、「ワイドビュー」特急ということで、巨大な窓と嵩上げされた床による眺望もあります。そしてご覧の通り、普通車でありながら、床面は全面的に絨毯張り。とても豪華な普通車です。

 松坂を出ると、次は下車駅の津です[⑬]。1分と停車せずに津を出て行く南紀6号は、紀勢本線を外れ、ここから伊勢鉄道に入り、終点の名古屋を目指して走っていきます[⑭]



















 三重県の代表駅、津駅です[①]。といっても、JR線は単線非電化で、一方の近鉄線は複線電化。列車本数も段違いで、JRの存在感は薄いです。県庁所在地においてここまでJRの存在感が薄いのは、本当に津くらいかもしれません。

 近場にエレベーターがあったので、齢22ながらエレベーターを使ってみましたが、これが出入り口の扉がL字に配された、やや特殊な仕様のものでした[②]。上の階と下の階で出入り口が反対側になるものは、駅でもよく見かけますが、扉がL字型に設けられているというものは、初めて乗ったかもしれません。”後付け”で既存の場所に設けるときに、こういった特殊仕様のエレベーターが役立ちます。

 東口のJR・近鉄共同改札[③]。ここで目に付くのは、「ICカードでJR線にはご乗車になれません」という文言。近鉄線はICカードでの利用に対応していますが、JR線は、TOICAのエリアが亀山までしか来ていないため、ICカードを利用することができません(当然、伊勢鉄道線も非対応)。亀山、下庄、一身田、津・・・と至るので、津までエリアを広げるのは、そこまで難しくなさそうなのですが。

 東口の駅前[④] [⑤]。こちらが市街地側にあたります。もちろん、県庁所在地なので、発展はしているのですが、街そのものについて考えてみると、ここよりも人口が多く、人口密度でも圧勝している四日市市が三重県内にはあるので、イマイチ目立っていないような気がします。

 天気はすっかり良くなり、青空も見えています[⑦]。先ほど南紀6号で遭遇した大雨はいったい何だったのか、と言いたくなるような晴れっぷり。旅をするにあたっては、天気は良いに越したことはありません。雨の方がありがたいことというのは、まずないですので・・・。

 駅前をぶらぶらとうろついていると、「街頭緊急警報装置」なるものが目に付きました[⑧]。文字通り、緊急事態が発生したときに、このボタンを押すと、サイレンと赤色灯が稼働するとともに、周囲の映像が記録されます。津市のほか、鈴鹿市、松阪市、四日市市などで整備されていて、三重県県警において独自に展開されています(香川県にも設置されている可能性あり)。

 駅の東西は、地下通路によって結ばれています[⑨]。西口駅舎は橋上化されていて、駅舎の下に近鉄線ホームが設置されていますが、東口はまだ地上駅舎であり、両駅舎間は跨線橋によって結ばれています。そのため、駅を利用しない人は、地下通路を経由することになります。

 西口の駅前[⑩]。その西口駅舎は、出入り口部分に大きく「近鉄 津駅」と記されていて、近鉄が管理している駅舎であることが分かります[⑪]。路線の案内も、もちろん近鉄線が先頭になっていて、「近鉄線 JR線 伊勢鉄道線」と記されています[⑫]

 さて、今回の旅では、全都道府県代表駅の駅スタンプを集めることにもしています。これまでに訪れた駅では、特に何事もなくスタンプを回収することができていたのですが、津駅で、あるひとつの問題にぶつかりました。それは、”JR東海の津駅は、スタンプを持っていない”ということです。小さな駅ならいざ知らず、県庁所在地の駅でスタンプが用意されていないことがあるとは・・・。

 しかし、そこで「夢が潰えた」と思う必要はありません。気が付いた方もいらっしゃることかと思いますが、私は今「JR東海の津駅は・・・」と言いました。津駅ならば、JRがダメでも、近鉄があります。というわけで、私は、近鉄側の事務所に掛け合い、近鉄が所有するスタンプを押印しました。もっとも、これも「津駅改良工事完成 1992年」というもので、かなり古いスタンプです。

 今でも反転フラップ式の発車標を使用している近鉄線[⑬]。一方、JR線の発車標は、LED式のものを使用しています[⑭]。基本的に近鉄の後塵を拝する津ですが、発車標では、こちらの方が先進的です。












 16:08発の亀山行きに乗車します[①]。一見、313系に見えますが、ここから亀山に至る紀勢本線が電化されているわけがないので、これは気動車のキハ25形です。電車と気動車がほぼ同じ車体を持つ事例は、他にはJR北海道における731系とキハ201系の例があります。

 津を出てからしばらくは、伊勢鉄道線の線路と並走します[②]。残念ながら、紀勢本線が複線になっているというわけではありません。そして津から1500mほど離れた地点に至ると、紀勢本線と伊勢鉄道線が分かれます[③]。どちらも単線非電化であることは同じですが、伊勢鉄道線は見ての通りの高架線となっています。

 一身田で下り列車と行き違い[④]。向こうもキハ25形です。その風貌はあまりにも313系にそっくりであり、上空に架線がないことに気が付くまでは、電車の313系同士の列車交換であるように錯覚してもおかしくないと思います。

 続いて下庄[⑤]。なんだかまた雲が目立つようになってきたな・・・と思ったら、ちらちらとではありますが、雪が舞っていました[⑥]。佐賀といい、山口といい、今回の旅では、どうしてか雪とはあまり縁のない地域で雪と遭遇しています。

 20分で終点の亀山に到着しました[⑦]。さて、ここから目指すのは名古屋方面か? それともまた別の方面なのか?


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