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 この後、益田〜新山口間を結ぶ山口線に乗車します[①]。「山口」の名を冠し、県の代表駅・山口駅もこの路線上にありますが、全線で単線・非電化という路線で、地方交通線に指定されています。その実態はいかにもローカル線で、全国津々浦々を見回してみても、都道府県の代表駅が幹線ではなく地方交通線上にあるというのは、山口線が唯一です。

 この旅は2月に行きましたが、2018年7月〜9月に行われる予定の山陰デスティネーションキャンペーンの広告が、既に掲示されていました[②]。このようなDCでは、特色のある、鉄道ファンにウケる臨時列車が運転されることが多く、今回の山陰DCでも、大阪〜出雲市間にサロンカーなにわ号(サンロカー大社)、大阪〜鳥取に12系(急行白兎)、京都〜出雲市間にサンライズ出雲93号が運転されました。

 益田駅の駅前[④]。益田で下車して外に出るのは、2010年8月以来、約7年半ぶりのことですが、この駅は、私にとっては、ちょっと思い出深い駅です。その根源は、駅のすぐそこにある「益田グリーンホテルモーリス」[⑤]。今でこそ、鉄道の旅で当たり前のようにホテルを利用していますが、7年半前にここに泊まったのが、私の一人旅における初のホテル宿泊だったのです。

 シンプルな造りをした2階建ての駅舎[⑥]。「益田駅南北連絡橋を早期実現しよう」との横断幕が掲げられているように、益田駅の駅舎は片方(南側)にしかなく、北側に行くのには一苦労します。駅のすぐ近くに踏切があれば良いのですが、東西の踏切は共にやや離れたところにあり、踏切を渡って反対側に歩くと、駅から1kmは歩かされます。

 ここ最近は、全国的にどんどん最低賃金が上がっているようで、島根県の最低賃金もまた引き上げられたようです[⑧]。旅をしていると、嫌でもコンビニの求人チラシなどを見ることになりますが、その金額は、やはり都道府県によってばらつきがあり、そういうところで「旅をしている(移動している)」と実感することもあります。

 三江線の全35駅(三次と江津を含む)分の記念入場券セットが販売されているとの案内が出ていました[⑨]。しかし、買えるのは江津・浜田・三次の3駅のみで、益田では取り扱っていません。ここで買えないものの案内を出されても・・・と思うよりも先に、なぜ浜田では売られているのかが気になりました(三江線の駅ではないのに。だとすれば、それこそ益田で売っても良さそうですが)。

 17:18発の特急スーパーおき5号に乗車します[⑩]。山陰本線内(鳥取〜米子〜益田)のみを走るキハ187系特急は「まつかぜ」、そこから足を延ばして山口線に乗り入れるものが「おき」と定義されます。なお、今日は日曜日なので、「だったらSLやまぐち号に乗るほかない」と思っていたのですが、2月は運転日が全く設定されていませんでした。












 鳥取からやってきたスーパーおき5号[①]。鳥取13:37発・益田17:14着/17:18発・新山口18:51着で、全区間の所要時間は5時間14分にも及びます。これに匹敵する、ないしは上回る走行時間を誇る昼行特急としては、宗谷号やオホーツク号、にちりんシーガイア号などがありますが、それらがいずれもグリーン車を連結しているのに対して、こちらは全車普通車。キツそう。

 西へと進路を取り続ける山陰本線と分かれ、山口線は南へと進んでいきます[②]。ここまで110km/h〜120km/hで走り、振り子を存分に活かしてきたキハ187系も、特に高速化対応が施されていない山口線内では、最高速度が85km/hに制限され、振り子も使用しなくなります。よって、山口線内のみの乗車では、やや”物足りない”感は否めません。

 石見横田で普通列車と行き違い[③]。今回は向こうの普通列車が先に到着し、そしてこちらの通過を待っているようでした。嫌味な言い方ですが、こちらは特急列車ですから、それくらいの”格差”はあってもらわないと、ね。

 益田を出てから初の停車駅、日原に到着しました[④]。ご覧の通り、ホームや木々には雪が積もっています。山口線に雪が多い路線というイメージはありませんが、山口方面へと進んでいくごとに、どんどん雪の量が増えていきます。そして徳佐付近では、辺りはいちめん白くなっていて、とても山口市内を走っているとは思えないような感じに(まあ、一応、この辺りは山間部ですが)[⑤]

 三谷に到着[⑥]。ここも雪が積もっていて、気分はまるで東北あたりのローカル線。ちなみにこの三谷駅、1日平均の乗車人員は僅か26人(2016年)という少なさでありながら、このように特急停車駅に設定されています。人口が800人にも満たない音威子府でさえ、34人(同年)はあるようですから、あるいは「日本一利用客が少ない特急停車駅」の可能性もあるかもしれません。

 益田から約1時間20分で山口に到着[⑦]。山陽本線と新幹線、そして宇部線が通る新山口こそが、山口県の真の代表駅であるとみなす向きもないわけではありませんが、時刻表の索引地図では、山口が代表駅に指定されています。そのため、スーパーおき5号を新山口まで乗り通すということはなく、ここ山口できっちり下車します。



















 スーパーおき5号は1番線から発車します[①]。隣の2番線からは宮野行きの普通列車が・・・と思ったら、そこには「3番のりば」との表示が。別のホームから出る列車を発車標に表示しているというのは、なかなか珍しいことではないでしょうか。

 山口駅で下車したのは、今回が初めてです[②]。知ってのとおり、新幹線や山陽本線は、ここから離れた新山口駅を経由していて、また山口市自体が、県庁所在地としてはあまり振るわない(下関や宇部の方が格上)ところなので、山口駅を利用する人も少ないです(1日平均の乗車人員:1676人/2016年)。ちなみに、これは都道府県庁の代表駅としては、ぶっちぎりの最下位。

 山口市の中でも、北部の山あいの方でもあれば、まあ雪が降ったり積もったりすることもあるかなと思っていましたが、まさか山口駅に来てまで、なおも雪に遭うとは思ってもいませんでした[③]。雪がしんしんと降っています[④]。もっとも、今日の山口市の天気としては「雪」とのことだったので、今日は本当に降るべくして降る日だったのでしょう。

 駅構内にあるうどん屋の求人広告[⑤]。運営会社の名前を見てみると、「小郡駅弁当(株)」。2003年10月のダイヤ改正によって、かつての小郡駅は、現在の新山口駅へと名前を変えましたが、小郡を由来とする会社名や地名などについては、今でも「小郡」が使われているようです。鹿児島中央駅もそうですが、世代によっては、今でも古い駅名で呼ぶ人もいることでしょう。

 駅前の様子[⑥] [⑦]。日曜日の夜だからということもあるかとは思いますが、そうはいっても、残念ながら、決して都市としての賑わいがあるとは言い難いです。それでも、こちら側(駅舎のある側)はまだ良い方で、この裏側は、すぐ近くに山が迫り、街という街ができていません。そして、そもそも駅舎自体、片側にしか設置されておらず、裏側に駅への出入り口はありません・・・。

 山口駅駅舎[⑧] [⑨]。屋根にある「山 口 駅」のボードが、かなり内側の引っ込んだところにあるせいで、近いところで駅舎を撮影しようとすると、画角の都合上、その駅名が入りません。よって、「山 口 駅」を入れつつ駅舎を撮影するとなると、やや離れたところからズームして撮らねばならないのですが、そうすると、夜の暗さとズーム使用のせいでブレやすくなる・・・というジレンマ。

 この辺りで形成されているバス網[⑪]。山口〜萩であれば、本数も、所要時間も、そして運賃も、鉄道はバスに対して全く歯が立ちません。ただ、行き先によっては、鉄道の方が有利となることもあるようで、例えばここから新山口駅なら、バス660円に対して、鉄道はたった240円ですし、防府駅なら860円/580円、徳山駅なら1400円/970円です。必ずしもバスの方が安いとは限りません。

 山口の名物を描いた暖簾[⑫]。その下半分には、大きくSLやまぐち号が写されています。1979年に運行を開始したこの列車は、1975年に国鉄線から蒸気機関車が全廃された後に、一般旅客が乗れるSL列車として復活した第1号です。いま、列車そのものが観光要素になったり、乗ること自体が目的となる列車が増えていますが、思えば、SLやまぐち号がその先駆けと言えるかもしれません。

 駅舎内の様子[⑬]。この駅では、私がいま使用している「長崎→稚内」の出札補充券に対しての駅員・作業員の反応がやたらと良く、途中下車でその乗車券を見せたときに、しばらく話が弾みました。まあ、めったに見ないでしょうからね。


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